Farmers League Against The Narita Airport

　成田空港会社が成田市の専業農家・市東孝雄さんから農地を強引に取り上げようと知事に申請している問題で、知事から「許可」の諮問（しもん）を受けた県農業会議は14日、不当にもそのまま「許可」を答申しました。
　会議の一部始終を見守っていた市東さん本人と私たちは、農地課のあまりにデタラメな経過報告と、農業会議員の質疑の無責任に悔しさがこみあげました。
　この答申を受けて、堂本知事が許可決定を下すことはもはや明らかです。私たちは知事の責任を追及し、この問題の不当を訴えます。

　農業会議における農地課の報告は、まるで空港会社の職員と見間違うばかり。県としての独自調査をすることもなく、虚偽の内容を含む空港会社の説明をそのまま鵜呑みにしたものでした（詳細は裏面）。市東さん本人が求めた事情聴取と実地調査は無視されました。
　対する農業会議の質疑はまったく甘く、「農地は耕作者のものとすべき」という農地法の趣旨すら理解しない無責任なものでした。

　堂本知事は会見で「（諮問に）踏みきったというより、農地法に基づくひとつの手続き」と話し、あくまで事務的に関与したにすぎないと強調ました（千葉日報報道）。
　冗談ではありません。空港会社の違法手続きを不問に付して知事が許可を決定すれば、強制執行による農地強奪に道をつけることになるのです。断じて事務手続きではありません！
　この農地はかつて空港用地として土地収用法が適用されましたが、権限が失効し国は手続きを取り下げました。この農地が知事の決定でふたたび強奪の対象となる。こんな理不尽を許してはならないのです！
三里塚芝山連合空港反対同盟
---------------------------------------ビラ裏
あまりにデタラメ！

堂本知事の「許可」の諮問と県農地課の虚偽報告

（１）「売買に小作人の同意は不要」のデタラメ

　空港会社は１９８８年に、耕作者の市東さんの同意を得ることなく、農地を旧地主から買収しました。しかもこの事実を隠すために、その後15年間も旧地主が地代を受け取っていました。この異常な経過には重大な農地法違反があります。耕作者の同意を得ずに農地を売買したことです。
　このことについて堂本知事と農地課は「農地を農地以外のものに転用する場合は知事の許可がいる」「しかし空港への転用については農水省令によって許可が不要」「許可がいらないから小作人の同意もいらない」というのです。これはゴマカシです。成田空港用地の場合、確かに知事の転用許可は不要です。しかしこのことと、耕作地の売買についての小作人の同意はまったく別のことです。そうでないと、農地法が保障する小作人の権利がどこにも担保されなくなるからです。

（２）「３年前に所有権を取得」の嘘

　また15年間も、旧地主が地代を市東さんからだまし取っていたことについては、なんと「所有権移転（売買）は３年前の２００３年に行われた」という空港会社の嘘を、そのまま鵜呑みにして報告しました。こんなデタラメは法務局に行って登記申請書を探れば一目瞭然です。１９８８年に即金で全額支払い売買は成立しています。この程度の調査すら堂本知事と農地課はしていないのです。
（３）「いくたびも会って交渉を重ねたが受け入れられなかった」との虚偽報告
　会議では委員から「成田市農業委員会が『地主・小作人双方の了解を得て、合意解約の後に、所有権移転することが望ましい』との異例の意見を付したが、これについて空港会社はどのように認識しているか。耕作者の意向は確認したか？」との質問がでました。
　農地課は、「いくたびも会って交渉を重ねたが受け入れられなかった」と報告しました。しかし、これは１００パーセント事実ではありません。市東さんに対して空港会社が、会ったのは一度だけです。農地課の報告が事実なら、空港会社は虚偽の説明を農地課にしたのです。そして堂本知事と農地課はこれを鵜呑みし、事実関係を市東さん本人に確認することなく、そのまま農業会議の場で報告したのです。

（４）実地調査をせず、錯誤の申請書を根拠に判定

　空港会社の申請書は、耕作地の位置の特定が間違っています。市東さんの耕作地は昔も今も、同じ場所、同じ形です。このことは法務局の公図や国土地理院の航空写真から明らかです。
　このことについての農地課の説明は「空港会社の申請書の添付書類によって判断した」というものです。しかし農地課が判断の根拠とした申請書に錯誤があるから実地調査を求めているのです。これでは答えになりません。
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市東さんから事情を聴取し、耕作地を実地に調査せよ！