●反対同盟弁護団が空港会社に通告書

 10月11日付の空港会社による市東孝雄さんへの耕作権解約「申し入れ」に対して、代理人の葉山岳夫弁護士から空港会社への通告書が直ちに返送されました。以下、全文を掲載します。

通告書(※反対同盟顧問弁護団から空港会社宛)

当職は、成田市天神峰63番地市東孝雄氏を代理する弁護士として貴成田国際空港株式会社に通告します。

 貴会社は、平成18年10月11日付内容証明郵便による申入書(以下申入書という)をもって7筆の土地賃貸借契約を、現在耕作中の作物の収穫期到来後1年の経過をもって終了する旨の通知をされました。
 
 しかしながら、上記通知は、違法、無効であり、上記解約の申入れは効力を生じません。第1に「下記土地」として1ないし7の土地(以下本件土地という)をあげ、本件土地につき平成15年12月に土地の所有権を取得したと記載されていますが事実に反します。 

 本件土地の登記記録全部事項証明書および登記嘱託書添付の和解調書によれば、貴会社の前身の新東京国際空港公団は、岩澤和行氏から天神峰78番2畑3354平方メートルにつき、売買代金を金981万8152円とする昭和63年3月18日付売買契約を締結し、同月25日に上記売買代金全額を支払って所有権を取得し、藤崎政吉氏から南台41番8、同番9外の畑につき、売買代金を金4472万2596円とする昭和63年4月12日付売買契約を締結し、同年5月13日に上記売買代金全額を支払って所有権を取得したことが明らかであります。

 平成15年12月に所有権を取得し、賃貸人の地位を得たという虚偽の主張をなして、本件土地の賃貸借契約解約に開する県知事への申請をなし、本件解約の許可を得た上で本件申入れをすることは、不実の主張をなして、県知事への許可申請を受理せしめ、騙取した許可に基づくものであり、上記解約申入れは無効であります。

 第2に本件土地は、祖父市東市太郎氏、父市東東市氏、本人市東孝雄の三代90年に及ぶ小作耕作地であり、小作耕作権者市東東市(当時)を全く無視、排除した本件農地売買契約は農地法、憲法29条の趣旨に反して無効であり、無効の売買契約に基づく本件解約申入れは何らの効力も生じないものであります。

 第3に本件農地については、1999年以来B’暫定滑走路建設工事を行ったとき、すでに本件農地を除外して工事が行われており、1988年(昭和63年)以来、本件農地の小作耕作権は農地法18条の規定により貴会社に対して、法的に対抗力のある農地です。これに対して、解約許可の申請をなすこと自体違法です。

 第4に貴会社がなした県知事への解約許可申請を求める請求権は、売買により農地を取得して10年を経過した1998年4月にすでに時効消滅しており、上記許可申請、県知事の許可自体が違法であり、解約の申入れはその効力を生じません。

 第5に貴会社および前身の公団は、農地所有権を取得した1988年以来、2003年にいたるまでの約15年間にわたり旧地主藤崎氏、岩澤氏に対して成田市農業委員会の許可を得ることなく、違法に農地を賃貸もしくは、使用賃借せしめ、両氏に市東東市氏、市東孝雄氏からの地代を受領せしめていたものであります。このような農地法上、違法かつ著しく信義に反する行為をなした貴会社が本件解約申入れをすること自体許されません。

 第6に南台で現に市東孝雄氏が耕作している畑は41番8のみでなくその周辺の農地についてもすでに10年以上耕作を継続しており、農地賃借権を時効取得しており、かつ、41番9はもともと耕作していません。賃借地を誤認した本件申入れは、効力を生じません。

 以上のとおり貴会社の本件解約申入れは、違法、無効なので直ちに本件申入れを撤回されるよう厳重に通告します。
 2006年10月12日

〒282−8601
成田市木の根字神台24番地
成田国際空港株式会社 代表取締役社長 黒野 匡彦 殿

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