●「労働者と農民の連帯」とは何か?

――萩原進さん、都内の労働者集会でアピール

「いまこそ労働者と農民が団結して、この分断を打ち破ろうではありませんか」

 萩原進事務局次長が、9月23日に都内で行われた労働者の集まりで、「労働者と農民の連帯とは何か」を力をこめて訴えました。以下は発言要旨です。
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■市東孝雄さんの農地を「農地法で取り上げる」という攻撃は、たんに一農民の問題ではありません。農民をつぶし農地を破壊し農業を破壊する。これが国の政策になってしまったことが背景にある。“百姓潰し”です。いますべての農民がこの嵐にさらされています。市東さんの農地を守る闘いは、全国の農民の命運がかかっていることを知ってほしいと思います。

■韓国の農民の闘いを見てください。昨年のWTO閣僚会議やAPECの会議で、農産物輸入の関税を大幅に引き下げる自由化へ動いた。これに対して農民たちはトラックやトラクターを国会に乗り入れ、実力で闘った。軍隊と警察が高速道路の入口を全部封鎖しても、彼らは国会周辺に集結し闘った。死人が出るほどの激しい闘いでした。

■時あたかも、韓国でもイラク派兵が問題になっていました。派兵に反対する労働者の闘いが提起され、農民と労働者が合流して闘いました。また、巨大な米軍基地がある平澤(ピョンテク)という所で、基地拡張に反対する農民たちが、労働者の隊列と合流して闘っている。

■農民たちは何を訴えているのか? 日本に引きつけて考えてみましょう。みなさんが毎日食べているコメ。玄米で農協買い取り価格が1票12000円。15年前は2万4000円。その半値です。一反歩でよく穫れても8表。10万円にも満たない。一町歩やってもで120万円です。半分は経費ですよ。機械も別。これが今の農業政策です。「農業やめろ」という政策です。卵は30年前より安い。牛肉はもとより豚肉はずーっと500円〜600円で横ばい。みかんも、りんごも安いなんてもんじゃない。

■元凶は輸入自由化です。国産の米は高いといって、輸入を解禁した。日本の農民は働きが悪い、コストダウンしろ、経営改善だと迫ってきた。何が起こったか? 農民が自分の子どもに農業を継げといえなくなった。農業高校は次々とつぶされる。農業を教える学校が無くなっているのです。食料自給率は40%を割った。安ければいいという政府の感覚は、食べ物じゃなくて「えさ」なんです。札束で外国から食料を奪い取るという面もある。世界に目を向ければ食べ物は決して余ってません。

■結論をいいますが、農業を潰してまともな社会は成り立ちません。これまで農家は働いて働いて、夜も寝ないで働いて、何とかなるだろうと。これが大半の農民です。家族と別れて出稼ぎにも出た。しかしもう、その出稼ぎの場もないんです。そのうえに減反政策でコメを作るなといわれ、一方で米を輸入して、値段は半値に暴落した。

■まだ、これでも終わらない。3月に出された新農政では農村は法人化しろ、部落でまとまって企業でやれとなった。個人では本州で4町歩以上、北海道では10町歩以上でなければ作ったコメも買いませんよと。なにしろ300万農家を40万農家に減らすと公言しているんです。完全な百姓潰しですよ。

■労働者が作る自動車を輸出して農産物を輸入する構造を経団連が作った。これが“安いコメ”の仕組みです。何が起こるか? ツケは労働者にまわります。労働者の給料が安くなる。実はこれが百姓潰しの目的なんです。農民は補助金をもらってけしからんなんて宣伝され、労働者と農民は分断されるというからくりです。

■いまこそ労働者と農民が団結して、この分断を打ち破ろうではありませんか。三里塚は動労千葉の労働者とともに築き上げた労農連帯の場でもあります。三里塚にはあらゆる階層の人々が集まっていますが、労農連帯が柱です。開港阻止決戦(70年代後半〜80年代初頭)の厳しい闘いの時代に、労働者は首をかけて、なぜ三里塚を支援するのかと自問しながら闘ってきた。ジェット燃料を運ばなければ首になるという厳しい関係です。それでも団結して闘ってくれたのが動労千葉の仲間です。

■80年代の中曽根臨調・行革の攻撃、国鉄分割・民営化という名の労働運動潰しの時代にあって、私たち三里塚農民にも2期着工攻撃が襲いかかった。あの嵐の時代を労農連帯で闘い抜いたんです。その時代を突き抜けて今日の動労千葉の姿があるし私たち反対同盟の姿もある。いま何が起きているか? 動労千葉の拠点つぶし。そして三里塚の北延伸です。改憲攻撃の中身は、本当に闘う労働者や農民の拠点をつぶす攻撃なんです。

■政府は強いわけではありません。「戦争を二度とやらない」と約束した憲法を変えないと生きていけない支配者なんて終わりです。だから三里塚40年の闘いが重要なんです。国家権力と40年も闘った、今日なおも五分以上に渡り合っている。いまこそ労働者と農民の隊列を大合流させて、この秋を闘いぬこうではありませんか。10月8日、三里塚現地(全国総決起集会)でお会いしましょう。(9月23日)

  

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