●鈴木さんの意見陳述書(全文)

昨日の公判で鈴木さんが堂々と述べられた意見陳述書の全文を掲載致します。

意見陳述書

一坪共有地共有者  鈴木幸司・鈴木いと

  組合財産である一坪共有地を金銭ずくで取り上げることはできない

 私たちが41年間にわたって所有し続けている一坪共有地に対して今回、不当にも金銭ずくで取り上げようなどという攻撃がかけられてきましたが、全く怒りに堪えません。私たちが土地を所有し守り続けているだけで、何で提訴されねばならないのでしょうか。何で被告席に立たねばならないのでしょうか。他人の土地を破壊したとか奪ったとかいうのなら提訴されるのも当然でしょうが、私たちは41年間も守り続けているのです。その一坪共有地を強奪しようなどとは、とんでもないことです。絶対に許すことができません。逆に私たちは、このような理不尽な土地強奪策動を提訴したいくらいです。
 そもそもこの一坪共有地運動は、空港建設に反対し土地強奪を阻止することを目的にして「三里塚地区周辺に土地をもつ会」という組合を結成して始まったものであり、一坪共有地は単なる共有地とは違って組合の財産であり、合有地なのです。従って、この一坪共有地は個人で分割したり売買することが禁止されているのです。私たちに「売ってくれ」と言われても個人の所有地ではないので、売ることができないのです。もし仮に個人で売るとしたら、それは裁判官が最もおわかりのように、民法676条に違反した行為になってしまうのです。単なる共有地でも、金を払うから共有物をよこせなどという要求が通る訳がありません。まして、この土地は組合財産なのです。
しかし旧空港公団(現在の空港会社)は、このことを十分承知していながら、卑劣な切り崩しを強行して秘密裏に共有者個人から「買収」するという違反行為を繰り返してきました。既成事実を積み重ねることによって「買収」を居直り、それだけでなく追い詰められた空港会社側や県は、逆に買収に応じない人を提訴するなどという理不尽な暴挙に出てきたのです。私達は、まさかこんな違反行為を裁判所が空港会社と一体となって認めるなどということはないものと思っています。提訴自体が間違いなのです。提訴は自らの違反行為を「合理化」するためのものであり、法を守るべき立場の裁判所としては、そのような違反行為に手を貸すことのないように、直ちに提訴を却下すべきです。

必要性も緊急性もない今回の提訴

 提訴された今回の私たちの一坪共有地は、空港敷地外に存在しており、空港建設にとって絶対的な必要性も緊急性もないものです。県企業庁はいみじくも、もし私たちの一坪共有地を取り上げたならば、その後空港会社に売り渡すと公言しています。まさに地上げ屋と同じようなことをやろうとしているのです。私たちが個人的買収という違反行為を拒否したからといって、私たちの一坪共有地を地上げ屋同然に取り上げてNAAに差し出す道理が一体どこにあるのでしょうか。もはや口実としていた貨物ターミナルも空港内外に沢山できて余ってるくらいであり、新たに造る必要性は全くなくなったのです。企業庁はただただ空港会社の手先となって私たちの一坪共有地を強奪しようとしているにすぎません。企業庁は、破綻した貨物ターミナルに変わって今度は、NAAの駐機場に差し出すなどということを口実にしています。しかしそれは絶対的必要性や緊急性からではありません。一坪共有地を強奪しようとしているのは、反対同盟つぶしのためにほかなりません。なぜならば、一坪共有地は他にも沢山あるにもかかわらず、反対同盟員が所有しているところだけが選別的に提訴されている事実に示されています。

共有者に無断で強行した一坪共有地の形状変更は違法行為である

 私は本件以外にも一坪共有地を所有していますが、共有権者である私たちに何の通告も承諾もなく一坪共有地の形状変更が強行されるという違法行為が繰り返されています。今年1月23日にも、成田空港会社(NAA)は、成田市天神峰の一坪共有地(天神峰字南台36番地)の竹林をことごとく伐採する暴挙を強行しました。
これは、共有権者に対する違法な権利侵害であり、大審院昭和2年6月6日判決によれば森林窃盗罪が成立しており、絶対に認めることができません。空港会社はこれまでも空港敷地内にある複数の一坪共有地の形状を無断で変更(破壊)する暴挙を重ねており、「三里塚地区周辺に土地をもつ会」ならびに反対同盟は、共有地保全のための立ち入り調査を行うたびに、その違法な事実を指摘し違法行為を止めて現状に復すことを求め警告してきました。これら一坪共有地に対する無断伐採や土地造成などの形状破壊は、明らかに共有者の権利をはく奪する違法行為です。本件においても絶対にそのようなことが繰り返されることのないよう警告します。

農業つぶし・反対同盟破壊攻撃を許さない

 一坪共有地強奪攻撃と同時に今、3代90年間にわたって耕作し続けてきた市東孝雄さんの耕作地を、本来農地を守り農民を守るべき農地法によって強奪しようという攻撃が強行されています。専業農家を300万戸から14万戸にしようという攻撃も強まっています。まさにこれは、市東さんに対する攻撃のみならず日本農民全体に対する農業・農民つぶしの攻撃にほかなりません。私たちの三里塚闘争は、日本の農民の未来がかかった闘いなのです。本件の一坪共有地はもちろんのこと、政府・空港会社・企業庁一体となった土地強奪攻撃を絶対に許さず徹底的に闘いぬきます。そもそも強権的土地強奪法である土地収用法は、もはや事業認定期限が失効した成田空港建設には適用できなくなっているのです。もはや、強権的土地強奪手段はなくなっているのです。組合の所有地である一坪共有地の法的関係を無視して、金銭ずくによる手段を使って私たちの権利をはく奪することは違法であり不可能なのです。そうであるにもかかわらず空港会社は今年1月、東峰地区の川島家と共謀して一坪共有地を簒奪するなどという違法な権利侵害を強行しました。これは絶対に許すことができません。
 さらに未買収地を残したままで違法な暫定滑走路開港を強行したことによって、民家の上空40メートルを飛行するという国家犯罪が連日連夜くり返されており、いつ大惨事が起きるかも知れない危険な状態に住民や乗客をさらしています。大爆音のみならず、ジェットブラストを農作業中の畑や民家の庭先までたたきつけるという生活破壊・営農破壊攻撃も日常的にくり返されています。堂本県知事が現地に来た時、いみじくも「ここは人の住める所ではない」と言ったように、そのような生活環境に追い込むことによって政府・空港会社は、農民・住民に屈服を強要して叩き出しを狙っているのです。このように、違法行為を積み重ねることによってしか空港建設が強行できない所にまで追い詰められているのです。違法な暫定滑走路の「北延伸]工事に続いて、つい先日の2月26日には、またも東峰地区住民との約束を破って成田空港会社は、住民の生活にとって欠かせない東峰の森破壊工事に着工しました。このような一連の暴挙を、私たちは徹底的に弾劾します。
 また今年の冒頭から、朝鮮有事にそなえて成田空港を具体的・実践的にどのように使用するのかという米軍による調査がこの春にも行われ、今秋までには実践的作戦計画を立てる、と大々的に報道もされて明らかになっています。軍事基地・出撃基地として成田空港を使おうという計画が、いよいよ現実のものとなったのです。なりふりかまわぬ違法・不当な土地強奪攻撃の強行もこのような情勢を背景にしているのです。私たちは、成田空港の軍事利用にむけた土地強奪を許さず、反戦・反基地闘争の先頭に立って空港廃港まで闘い続けます。
                              2007年3月8日
               

  

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  • 鈴木さんの一坪共有地裁判