「村から出て町に住め」?!の暴論に怒り

――農民の声新聞紙上で噴出

8月16日付日本農業新聞
8月16日付日本農業新聞

■7月29日の参議院選挙は、都市部の労働者と共に農村の農民が怒りの反乱を起こした結果、自民党の歴史的惨敗となりました。
■実は参議院選挙の前から、安倍政権による農業・農民切り捨て政策への怒りが、新聞紙上でも噴出していました。「日本農業新聞」8月16日付は、4月から始めた「田園立国」キャンペーンへの農民読者の反応を紹介しています。(写真参照)
■中でも2人の学者・政治家のコメントに対する反論が問題の本質を鋭くついています。1人は慶応大学准教授(助教授)の土居丈朗です。彼の小論に対する反論が岡山の農民によって展開されています。
■土井准教授は7月25日付の同紙に「今の集落のすべてを守ることは無理だ。町の周辺にまとまって移住すべきだ。農村だけが悲惨なわけじゃない。地方は国への依存を減らし、甘えを絶つべきだ」という趣旨の小論を寄稿しました。小泉―安倍政権の農業切り捨て・構造改革路線そのものの主張です。
■これに対して、前記農民は「こんな現状認識しか持っていない人が准教授とは、大学はろくな社会人を送り出せないはずだ」と厳しく批判した上で、「『勤め人にも転勤があるのだから、むらから出て町に住め』というのは暴論だ」「農業を経済効率を追及する商工業と同じ産業として見るのは間違っている」「農業・農村は国の地域政策として大きな視点で考えるべき」と反論しています。
■もう1人はかの竹中平蔵。7月23日付農業新聞に「村が疲弊しているのは単に村外に息子が出て行ったことが理由でしょ。単に人生の選択の問題。努力を怠って何でも国のせいにしちゃだめ」という趣旨の小論を寄せました。
■これに対して千葉の農民は「若者が農村から出て行ったことを『単に人生の選択』と言ってのけた。冗談じゃない。こうした冷淡な市場原理主義が地域をつぶしていく」「国に頼るなと言われるが、地方財源の首をしめ、補助金に頼らねば事業展開ができない仕組みが地方にそうさせているのが実態だ」「村を出て行かざるをえない農業の所得構造が問題だ」と、憤懣やるかたない声を同紙に寄せています。
■両氏への反論とは別に、他にも農村の疲弊ぶりを告発する声があふれています。「今の農村の崩壊はすさまじく涙も出ない。拝金主義が日本社会を覆いつくしている。しかし、農民自身、農業・農村を踏み台にしてきた経済合理主義への抵抗はしてきたのか。『結い』の伝統を壊したのは誰なのか。こうした点にもメスを入れたい」(茨城県・農民)、「米国の金融資本に世界中が振り回され、その中でも日本が特に狙い撃ちされている。生命維持産業の農業現場も集落も疲弊している。市場原理主義をどんどん批判したい」(福岡県・農民)。
■まさに、全国津々浦々で農民が反乱を開始しています。「日本農民の名において収用を拒む」「農業切り捨て攻撃の最先端に位置する市東さんへの農地取り上げを、労農連帯の力でなんとしても阻む」という闘いを展開している私たち反対同盟こそが、日本全国の農民の怒りの先頭に立ちたいと思います。

  

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