●ふつうの農家を立ち上がらせたものは…

反対同盟のみなさまへ

 1/27はお世話になりました。
 目的の地へ近づくにつれ広がる地平。のどかな田園地帯の中でゆったりした気分にひたってると、やにわにキーーーンという旅客機の音。ああこれか、と我に帰る。そして制服を着た連中や怪しい車。否が応でも緊張する。それでも現地で闘う皆さんのところにおじゃまし、軒下の干し柿や大根を見るとほっとした。天気もよく日がさしていてぽかぽか陽気でいい気持ち。

 「大地の乱」を解説つきで見せていただいた。私にとっては初めて見る映像で、闘いの激しさに息をのんでしまった。そして食事の時間。根菜の煮物とサラダとおひたしが大皿に盛られている。スープとごはんを各自でよそっておいしくいただいた。外食産業にはない、シンプルなおいしさがあった気がする。ごはんはおかわりした。同行の仲間の一人は、大きなどんぶりにもかかわらず、おかわりしていた。

 いよいよ現地案内。市東さん宅に向かうにつれて、ゆったりした田舎の風景に不似合いな防音壁も見えてくる。まもなく到着。ふつうの農家と畑のすぐそばに防音壁が迫ってきており、騒音もすごかった。星野さんの木があるあぜ道を歩きながら、監視台へ向かう。はしごを登り、滑走路を目の当たりにして圧倒された。「への字」は実際に見ると、ものすごいことだと実感した。言葉はなくとも闘いぶりが示されていた。広大な滑走路に対して、市東さんの土地が思い切り食い込んでいた。いやそうではない。滑走路の方が食い込んでいるのだ。
 防音壁を隔ててほんの数メートルで、片やふつうの農家、片や剥き出しの資本のエゴ。圧倒的な資本・権力の攻撃の前に、40年間、農民の誇りをかけて少しもひるまず闘ってきた農家の姿と、日本の空の玄関といわれる成田空港の現実を目の当たりにした。このような状況をつくり出す資本とは何なのか、また、そんな資本主義の中で賃金を得て、快適便利な生活に浸っている自分は何者なのか。大いに考えさせられる風景だった。
 このあと鈴木幸司さん、北原鉱治さんのお宅におじゃまし、いろいろと貴重なお話をうかがった。特に北原さんの「三里塚の問題は全体の問題」という言葉は心に残った。資本主義社会に生きる者にとって決して他人事ではない、と強く感じた。40年もの間闘い続けてこられた方々だが、ごくごくふつうの人たちであった。ごくふつうの人たちが、なぜ立ち上がったのか。皆さんの状況からも、資本の暴虐がそうさせたんだと思えた。

 心残りだったのは、こちらの勉強不足のため、お話を聞くほうが多くなってしまったことだった。今までの闘いについての予習をしていれば、もっといろいろと議論もできたのに、と思った。3月30日の集会にはもっと勉強して集結したいと思っている。
 最後に、今回の現地調査で訪問させていただいた皆様、いろいろ取り計らっていただいた皆様に、貴重な体験をさせていただいたお礼を、この場を借りて心から申し上げます。

1月27日に現地調査に訪れた神奈川の労働者の方から感想が寄せられましたので、紹介させていただきました。なお、見出しは管理人の方でつけさせていただきました)


  

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