●富越裁判長の審理打ち切り策動を粉砕

――証人調べ「全員却下」をはね返す大傍聴闘争を闘い抜く


報告会であいさつする伊藤信晴さん
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■9月10日、東京高裁825号法廷で暫定滑走路認可(工事実施計画変更認可)取消訴訟控訴審の第3回口頭弁論が開かれました。裁判は1審判決の誤りを徹底的に明らかにする弁論を行ったうえで、申請した証人調べを一人も行わずに裁判の早期結審を図ろうとする富越和厚裁判長の反動的な訴訟指揮を粉砕し、市東孝雄さんと松井利仁京都大学准教授の証人調べを勝ち取りました。

■成田空港の暫定滑走路は、本来の基本計画であった平行滑走路の2500メートル滑走路を変更して北側に800メートルもずらしたうえ、現在ではさらに320メートル北方に延伸しています。これは1967年に認可された当初の空港建設計画とは全く違ったものになっており、明らかに基本計画に違反しています。従って、「工事実施計画変更認可処分(暫定滑走路建設工事)」は違法・無効であり、取り消けさなければなりません。のである。本日の裁判ではこのことを徹底的に明らかにしました。
■一審では「2180メートル滑走路は、あくまでも暫定であり基本計画の変更にはならない、最終的には同じになる」などと完全に開き直って、国交省の違法な「変更認可」を政治的に追認しています。しかし実際には、基本計画から北側に1100メートルもずれたものになっているばかりでなく、将来は東峰地区住民を追い出し、横風用滑走路と交わる部分も含めて、2500メートルを3800メートルにしようと策動しているのです。これは当初の基本計画とは全く違うものです。
■さらに、40年前の「基本計画の認可当初と現在では、新たに著しい被害の拡大などの変化は見られない」などととんでもないウソと居直りを強行し、深夜にわたる連日の民家上空40メートル飛行という殺人的大騒音と生活破壊・営農破壊の国家犯罪を無視し、「病人が出るほどの被害は出ていない」などと真っ向から住民に敵対して誤った判断一審では下しているのです。
■以上のような一審の誤り・反動的居直りを許さない弁論に加え、さらに一審の誤りを立証するために成田市の要請により「成田空港周辺での騒音による生活妨害・健康被害調査」を行った京大の松井利仁准教授の鑑定意見書を提出しました。下に示した9月10日付け読売新聞の記事にもあるとおり、騒音被害について、国の判断基準が見直しを迫られているのです。110デシベルの騒音下で暮らす地元住民に「被害がない」などという言辞は到底許せるものではありません。裁判所は地元住民の声に真摯に耳を傾けるべきです。


 ●裁判打ち切り策動をはねかえす

■口頭弁論に続いて反対同盟弁護団は、1審判決の誤りをより明らかにするために証人申請を行いました。ところが富越裁判長は合議ののちに「書面を見れば十分だ。いずれの証人も必要ない。判決を見てもらえれば分かると思う」(えっ! もう判決ができてるの?)として、証人申請を全員却下しようとしたのです。
■傍聴席の怒りが爆発しました。地元農民にとって生き死にのかかった問題なのに、書面を見ただけで何が分かるというのでしょうか。住民の健康被害をどれだけ理解しているというのでしょうか。傍聴席の怒りと一体となって、弁護団はねばり強く証人調べの必要性を主張しました。法廷に渦巻く怒りに富越裁判長は「傍聴席の方でも議論が起きていますが…」などと口走りながら、2度にわたって延々と合議をやり直し、ついには市東孝雄さんと松井利仁京都大学准教授の証人調べを認めたのです。

 ●次回裁判に大結集を!

■今回の裁判闘争は、実質的な審理打ち切り策動を断固粉砕する闘いとして勝ち取ることができました。市東孝雄さんと松井准教授の証人調べを勝ち取ったとはいえ、残りの証人調べは却下して、二人しか認めないということは断じて許せません。怒りと勝利感と次回裁判への決意を込めて、報告会が開かれました。
■報告会では弁護団からの報告を受けて反対同盟の伊藤信晴さんがあいさつ。「弁護団の方と傍聴が一緒になって闘えた。北原事務局長が常に言うように、『裁判には幻想は持たない』ということはあるけれど、今日の闘いの中で大きく力関係における勝利を切り開いたと思うので、これからも共に頑張っていきたい」と決意を述べました。
■次回の裁判は12月17日午後2時から開かれます。市東孝雄さんと松井利仁京都大学准教授の証人調べを含む2時間半の大裁判闘争となります。証人調べをまとめてやってしまおうという拙速審理に対して、逆にここを一大焦点とし、大挙結集して闘い抜きましょう。皆さんのご参加を強く訴えます。

  

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  • 暫定認可取消訴訟