「裁判所は訴えを棄却しろ」-耕作権裁判が再開

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 6月15日、千葉地裁民事第2部(岸日出夫裁判長)で市東孝雄さんの耕作権裁判の弁論が開かれました。「文書提出命令問題」で審理が中断して、約2年半ぶりの再開です。
 裁判に先立ち、午前9時から千葉市内の葭川(よしかわ)公園に100名の結集をえて決起集会を開催。司会の伊藤信晴から「控訴棄却の不当判決の背景には安倍政権のあせりがある。戦争へ向けた第3滑走路建設を絶対に許さない。今日の裁判に勝利しよう!」と訴え、関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会、動労千葉から連帯発言いただきました。
 事務局から萩原富夫が「通知からわずか1週間後の判決期日指定、元の判決をなぞっただけの内容など、東京高裁は判決で"国策裁判はこうやれ。農民の土地を奪え"と千葉地裁に見本を示し、圧力をかけた。絶対に認めるわけにはいかない。空港公団=空港会社(NAA)の違法の数々、証拠偽造をはっきりさせて、耕作権裁判に勝利しよう。利権にすがる石毛を許さず、第3滑走路を粉砕しよう!」と方針提起をおこなってデモに出発。「空港会社の証拠偽造を許すな/裁判所は訴えを棄却しろ」という横断幕を掲げながら、千葉地裁を包囲するデモ行進をおこないました。

p150615_3.jpg 千葉地裁601号法廷の傍聴席を満席にして、10時半すぎから弁論開始。
 再開第1回となるこの日の法廷は、前任の白石史子裁判長から岸日出夫裁判長への交代となるため、更新手続きとして弁護団と市東さんが意見陳述をおこないました。

この耕作権裁判は、NAAが市東さんの南台耕作地の一部を「不法耕作地」と決めつけて明け渡し請求をおこなったものです。しかし、数々の違法を働いてきたのはNAAであり、土地の位置特定について誤りを犯したままです。市東家が一度も耕したことのない「南台41―9」を賃貸借契約をした土地だとし、ずっと耕し続けてきた畑を「不法耕作」と言っているのです。
 弁護団は、スクリーンに図面を映し出しながら陳述をおこない、現在の耕作場所が契約地であることを、空港公団自身が作成した書類を用いて明らかにしました。
 NAAが勝手に「南台41―9」の土地を市東さんの契約畑だと理由づけているのは、唯一「境界確認書」「同意書」の偽造文書のみです。これらの書類はどういう経過で作られたのか。それまでの図面や耕作実態とも明らかに違うのはなぜか。それに答えなければならない空港会社は、裁判所による文書提出命令にも従わず、この過程で作成されたはずの交渉記録、報告書などを隠し続けています。立証責任は空港会社にあるのに、「探したが見つからなかった。担当者は故人で、これ以上わからない」とまったく不誠実な対応です。それは彼らが文書偽造を自認したに等しいことです。
 市東さんが耕作している土地すべてに、市東さんの耕作権があるのです。これが揺るぎない事実です。この訴訟は無効であり、裁判所は直ちに棄却すべきです!
 こうした内容を弁護団のひとりひとりが論点を示しながら、明快に述べました。

 弁護団に続いて市東孝雄さん本人が陳述に立ちました。
 「この裁判で提訴されたとき、私は新聞に"不法耕作の男"と書かれました。誠実に農業を続けてきた私に対するこの誹謗中傷に、夜も眠れないほど苦しめられました。私が耕している土地は祖父の代から守ってきたところです。それがいつの間にかNAAが地主になっていて明け渡せと訴えられました。ところがその根拠となる「同意書」「境界確認書」が偽造と聞いて驚きました。裁判所が真相を究明することを強く求めます。農業は私の誇りであり、農地はかけがえのない私の命です。裁判長! 私は不法耕作などしていない。私はこの裁判に勝ち、農地法裁判の不当判決の誤りをただしたい」
 このような堂々とした陳述で、市東さんは裁判長とNAAに迫りました。
(市東さんの陳述と弁護団の更新意見は別掲のPDFファイルを参照して下さい)

 岸裁判長は、民事訴訟法第224条(証拠開示しなかった場合、相手方の主張を真実と認めることができる)にのっとり、「証拠は偽造」という市東さん側の主張をただちに認め、NAAの訴えを棄却すべきです。
 次回期日は9月14日(月)午前10時30分からです。

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