提出命令拒否をさらに居直る空港会社

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 9月14日、千葉地裁で耕作権裁判がおこなわれました。
 この日、現地の支援連絡会議が早朝から裁判所前に「裁判長は訴訟を却下せよ」の横断幕を広げ、傍聴券配布までビラまき街宣をおこないました。傍聴券配布前には、傍聴に集まった人々も加わって、シュプレヒコールを行いました。
 弁論では、前回出された原告・NAAの主張に徹底的に反論し批判する内容を、弁護団がそれぞれ立ち上がって陳述しました。

 主な内容は以下の通りです。

 ①そもそもNAAが市東さんに「土地を明け渡せ」などと迫る資格があるのか。本件農地売買については農地法第5条(転用のための売買規定)は適用されず、また、同第3条(農地のままの売買規定)に違反し無効である。NAAに農地の所有権はない。

 ②原告NAA=空港公団は1988年に、耕作者である市東東市さん(孝雄さんの父・故人)に無断で旧地主から南台農地の底地を買収し、転用計画も立てないまま15年も秘密裡に保有し続けてきた。したがって5条は適用できず、3条違反になるが、同時に不在地主による小作地所有を禁じた農地法第6条違反。

 ③「新東京国際空港公団用地事務取扱規程」38条は、「取得する土地に用益物権、担保物権等が設定されている場合は、これらの権利を消滅させるものとする」と書かれている。小作者である東市さんの同意がないまま地主から底地を買い取ることは、この規程に違反。憲法第29条(財産権の保障)に違反。

 ④NAAは市東さんの南台の耕作地のうち、「41―8」「41―9」を賃借契約地とし、それ以外を「不法耕作」と決めつけて提訴した。だが「41―9」を市東家が耕作したことは一度もなく、ここは石橋家が屋敷林として占有していた。これは、1970年当時に空港公団自らが強制収用のために作成した図面や航空写真からも明らか。NAAが証拠提出した「同意書」「境界確認書」添付の図面による位置の特定は誤りで、署名は偽造。

 ⑤南台の市東さんの耕作地には、石橋家の申し出により交換したり、元々の耕作者が移転し放棄した土地も含まれている。いずれも地主・藤﨑氏の承諾を得て耕作し、毎年賃借料を支払い続け何の問題も起きていない。これらの土地も市東さんは賃借権を時効取得している(民法第162条)。

 提出命令拒否をさらに居直り

 これらの全面的な主張にふまえ、⑤については、次回さらに主張が展開されます。
 多くは行訴・農地法裁判でも論点になったことですが、千葉地裁・多見谷寿郎裁判長も、東京高裁・小林昭彦裁判長も、NAAの言いなりになって、こうした問題にフタをして不当判決を強行しました。NAAが隠し持っている文書ではっきりする問題ばかりです
 NAAは文書提出命令に従わないことへの制裁(サンクション)について、「提出命令に従わなくても、(民事訴訟法224条1項は)相手方の主張を必ず真実と認めなければならないとするものではない」と、法の趣旨を無視したこじつけの解釈で恥知らずな居直りを続けました。裁判所をも愚弄したこの態度を許さず、文書を出さずに逃れようとするNAAを今度こそ追いつめましょう。

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