●「事業清算」なのに一坪強奪の提訴

――県企業庁・NAAが所有権者の鈴木幸司さんに通告

千葉日報(11月26日付)
千葉日報(11月26日付・1面)


●なりふり構わぬ土地取り上げに走るNAA
 反対同盟の鈴木幸司・いとさん夫妻が所有している一坪共有地を取り上げようという動きが表面化しています。
■11月24日、千葉県企業庁は鈴木幸司さん・いとさんが所有している成田市駒井野にある一坪共有地について「買収に応じないならば提訴する」という脅迫文書を送りつけてきました。共有地がある場所は、4000メートル滑走路の北端から東側に数百メートル離れた空港敷地の隣接地です。
■企業庁は以前、ここに貨物物流基地建設を予定していましたが、事業計画が破たんし、事業の清算手続きに入っているそうです。ところが千葉県は、予定地内に鈴木さんが所有している一坪共有地261平方メートルを、この段になって奪い取ろうと動き出しました。県の目的はNAA(成田国際空港会社)に用地を売却することだと報道されています。ただの金儲けです。
■空港会社は、駐機場を増設するとの建前でその土地を買い取る意向を示しているようですが、人の土地を奪い取らなければならないような緊急性はありません。ましてや事業の失敗を清算するために法を濫用して土地を取り上げるとは、とうてい許されるものではありません。
■鈴木さん夫妻の怒りは収まりません。「反対運動を金で買収することは出来ない。実にふざけた攻撃だ。反対同盟は最後まで闘う」と力強く決意を表明しています。

現在反対同盟が所有している他の6カ所の一坪共有地についても、空港会社が「買収に応じなければ取り上げる」という無茶苦茶な裁判を起こしていて東京高裁で係争中です。成田空港問題が持ち上がって40年。土地収用法に基づく事業認定がすでに失効しているため、一坪共有地は強制収用できなくなりました。土地収用法が失効した1989年以来、日本の法律では、合意による買収以外に強制的に取得することは出来なくなっていました。
■ところが空港会社は02年の暫定滑走路開港後、NAAは何と民法を持ち出して、「全面的価格賠償方式」なるもので「持分を金に換算して賠償すればいい」という理屈で訴訟を起こしてきたのです。土地収用法で40年かかって取れなかった土地を民法で取り上げるとはあり得ないことです。これは現行の法体系を破壊する訴権の濫用にほかなりません。
一坪共有地は共有地一般とは違い、個人所有の財産ではありません。空港反対を目的にした「三里塚地区周辺に土地をもつ会」という組合の合有地であり組合財産です。そのため民法676条に規定されているように、個人で分割したり売買することが禁止されいます。個人から買収すること自体が不可能だし違法なのです。
■空港会社はこれまで確信犯で違法な買収を繰り返し、一坪共有者をカネで買収し切り崩してきました。そして裁判では、「組合財産」でるあことを認めると自分たちの買収行為が違法となるので、「土地をもつ会」を組合とは認めないと居直っているのです。一審判決は、何とこの無法を追認する歴史的な反動判決(6・28千葉地裁。裁判長・長谷川誠)でした。
■今回の鈴木さんに対する一坪共有地買収・提訴の動きは、北延伸工事の2009年完成の破たん的現実に追い詰められた空港会社が、市東さんの耕作地強奪攻撃と相まって反対同盟に物理的な圧力を加えようとの意図です。見下げた奴らと言うほかはありません。反対同盟はこのような理不尽を許さず、勝利の日まで闘う決意です。

  

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