« 2007年04月 | HOME | 2007年06月 »
鈴木さんの一坪共有地裁判について
提起する一瀬敬一郎弁護士
鈴木さんの一坪共有地裁判について
提起する一瀬敬一郎弁護士(右)
今年2月10日に行われた一坪共有地現地調査。主に、空港内に存在する共有地の現況を確認した。これは「三里塚地区周辺に土地を持つ会」という組合の活動として行った。
5月7日(月)午後2時から一坪共有地控訴審(東京高裁810号法廷)が行われます。
この控訴審は6ヶ所の一坪共有地について、成田空港会社(NAA)が全面的価格賠償方式で、つまり金銭によって強奪しようと提訴したものを、途中から1つの裁判に併合をかちとって千葉地裁において3年半にわたって争われてきた裁判です。
一審ではNAAの主張を全面的に認める反動判決が強行されましたが、昨年秋から東京高裁において控訴審闘争に突入しています。
5月7日の公判が5回目になります。現在の攻防の焦点は、証拠調べ=清水和邦教授(福井県立大学)の証人採用をかちとることができるかどうか、ということです。裁判長は「既に一審で証拠調べは十分尽くされているから控訴審での証人調べは行う必要性がない」などと、全く不当にもこれ以上の審理を行う必要がないかのようなことを言っています。
しかし一審判決では、裁判の核心である「三里塚地区周辺に土地をもつ会」が民法上の組合であることがただしく判断されていません。一坪共有地は組合の合有地であるため、個人的に分割したり売買することが不可能なのです。「全面的価格賠償方式」を適用した共有地取り上げは不可能なのです。なぜなら共有地の分割・売買を禁止している民法676条に違反することになるからです。
一審判決は一坪共有地が組合の合有地であるという事実認定を誤っています。そのことを審理の中で明らかにし、立証するためにも、新たに提出された清水教授の「鑑定意見書」についての証拠調べは不可欠なのです。
一審判決の誤りを審理するのは控訴審の義務です。それは公平な審理を行うためにも保障されなければなりません。にもかかわらず裁判長は、このような当然の審理を棚上げする訴訟指揮を強行しようとしています。絶対に許すことはできません。
証人調べを実現するためにも、ぜひ裁判の傍聴に結集されることを強く訴えます。
最近流行りのメタボリックという響きに敏感になりながら、この「こぼれ話」を書いています。
10日は現闘本部裁判ですが、NAAは本部破壊のために、こう主張しています。「登記されている元の木造建物の本部は、登記されていない鉄筋の建物に吸収されて無くなっのだから、鉄筋の建物は違法であり即座に撤去せよと」。
『吸収して無くなった!???』
ハァー??
鉄板で囲まれ、現在封鎖されている現闘本部の中には、木造の建物が厳として残っているのです。建設途中の写真でもそれは明らかであり、封鎖直前までそこに住んでいた者にとっては怒り無しに聞く事ができません。
さあー!これから本格的な農作業の始まりです。春の草取りの進み具合いによって、夏、秋の作物の収量が決まると言ってもいいぐらいです!
反対同盟が応援した選挙は全勝だし、田植えは終わったし、気分は最高です。これからは機動隊や公団(現NAA)をなぎ倒す勢いで草取りに、野良仕事に爆進していきます!
さあ、みんなも、都会で疲れた心と体を三里塚の空と大地の中で野良仕事して、リフレッシュしよう!!現地では援農を心待ちにしています。
仕事着は動きやすく汚れてもいい物を。モンペなんかあれば最高ですね、軽くて動きやすい。(履いた事無いけど(~_~;) なんと言ってもサイズが豊富、S.M.L.2L.3L.その次が肥満、と無限です。本当にサイズに『肥満』と書いてあった(笑っちゃいました)。
ともあれ、少し大きめがベストです。
追伸 今現地では東峰の森決戦の最中ですが、農民の営みは何一つ変わりません。それは三里塚闘争40年の歴史の中でも変わる事無く続けられてきました。
(5月8日 撮影)
5月7日午後2時から東京高裁第5民事部で行われた一坪共有地の控訴審において小林克己裁判長は、突然結審を強行しました。「証人調べは必要ない」と言い放ったのです。昨年10月の公判開始から僅か7カ月足らず、実質わずか3回の弁論しか行っていません。小林裁判長の反動的結審強行を満身の怒りをもって徹底的に弾劾します。
この一坪共有地控訴審は、昨年6月の千葉地裁の反動判決に対して7月に控訴して10月から公判が開始されたものです。争点の核心は、一坪共有地が1966年に結成された「三里塚地区周辺に土地をもつ会」という組合による合有地であるか否かということです。合有とはむずかしい法律用語ですが、共有より強い拘束力のある所有権の形態で、個人で分割して売買することは禁止されている共有権です。
ですから空港会社が個人から買収する行為は違法であり無効であることになります。
このことは一審においても度重なる準備書面や1年間にわたって展開されてきた10人の証人調べによる証言の中で明確に立証されています。にもかかわらず千葉地裁は、「三里塚地区周辺に土地をもつ会」を組合とは認められないとして、個人的分割や売買行為は違法にはならないと居直り、全面的価格賠償方式の適用を正当化する反動判決を強行しました。
控訴審においては、この一審判決が誤りであることを全面的に展開してきました。つまり、「三里塚地区周辺に土地をもつ会」という組合の事実認定の判断に誤りがあることを展開してきました。同時に、この立証として一坪共有地の「鑑定意見書」を提出した清水和邦教授(福井県立大学)をはじめとする証人調べが不可欠であることを強く要求してきました。
そもそも控訴審においては,一審判決の判断の誤りを審理するのが義務であり、それは公平な審理を行うためにも保障されねばなりません。にもかかわらず小林裁判長は証人調べも行わず結審し、当然不可欠の審理を圧殺する暴挙に出たのです。まさに結論ありき、と言わんばかりの審理打ち切りです。許せません。
そもそも土地収用法で40年かかっても力ずくで強奪できなかった一坪共有地を民法で強奪しようなどということは、民法を使って実質上の強制収用を行おうということであり、違法そのものです。しかも結審強行からわずか2ヵ月後の7月11日に判決日を指定してます。反動判決の強行が策動されていることはまちがいありません。この反動判決を阻止するために一坪共有地裁判闘争に結集しよう。
裁判終了後の記者会見
5月10日千葉地裁405号法廷において、天神峰現闘本部裁判の第16回口頭弁論が開かれました。
今回の弁論で弁護団は、「現闘本部について地上権や賃借権の認識はなかった」「地代の受領の事実はなかった」とするNAA(成田空港会社)の主張のデタラメさを打ち砕く弁論を展開。NAA側を圧倒しました。対するNAA側は裁判長から「もっと主張してはどうか」とうながされる始末です。
しかしながら今回の公判の最後で仲戸川隆人裁判長は「次回(7月19日)、人証(にんしょう)について決定したい」(証人調べの時間や期日について決定する)「人証は建物以外についての人証を先に行いたい」「人証を先にして、その後建物の検証について考えたい」と言い放ちました。
とんでもない話です。
なぜ検証を行わない!?
なぜ仲戸川裁判長は建物の検証を行わないのでしょうか。
今回の弁論の中で弁護団は「検証申立補充書」を提出し、葉山岳夫弁護士が「NAAはいまだに旧来の現闘本部が『解体吸収された』と主張している。主張が明白に相異なっているのだから検証すべき」「1991年1月に現闘本部が成田治安法で封鎖された時立ち会った公団職員によって、NAAは内部の事情を知っているはず。つまり反対同盟に地上権が存在する状況を承知していながら土地を買収したわけで(これを「背信的悪意者」と言います)、この点を明らかにするためにも検証は必要」と重ねて実地検証の実施を求めました。
仲戸川裁判長はこれに耳を傾けることなく、「証人調べを先にやる」と言ってきたのです。傍聴席からも弾劾の声があがりました。一瀬敬一郎弁護士が「検証を優先させよ。裁判長は再考すべき」と強く迫りました。
「建物以外の人証を先に」と言う言葉に裁判長の意図が透けて見えます。
旧現闘本部があるかないかは不問に付したうえで証人調べを進め、NAAの主張に沿って白を黒と言いくるめ、「そもそも地上権も借地権も存在しない」「だから建物があるとかないとかは問題ではない」として核心部分の検証を行わずに反動的な結論を導き出そうとしているのです。
裁判支援の拡大を
裁判終了後の記者会見で遠藤憲一弁護士は「背景に裁判迅速法がある。民事は2年で結審するように言われている。現闘本部裁判はすでに3年。裁判長は年内結審、年度内判決を狙っているのだろう。建物の検証をやったら、これは無理。だからやろうとしない」と看破しました。
背景にはまぎれもなく憲法改悪の動きがあります。司法反動化、三里塚つぶしという国家意志を受けて裁判長は反動的な結論を導こうとしています。弁論の正しさだけではなく、この反動に負けない力強い裁判支援運動が必要です。
反対同盟は「天神峰現闘本部裁判を支援する会」をさらに多くの皆さんが参加されることを強く呼びかけるものです。「仲戸川裁判長は建物の検証を行え」の声をさらに大きな力にしていきましょう。
次回公判は7月19日(木)10時30分からです。
(裁判当日の朝、裁判所周辺で配布したビラ)
※なお、記者会見終了後に「天神峰現闘本部裁判を支援する会」の例会が開かれました。
こちらについては、おって報告致します。
機動隊車両に守られて、森の伐採を強行する空港会社。かなりの樹木が切り倒された。場所は、萩原進さんの清水の畑のすぐ東側だ
萩原進さんの畑から東峰の森を写す。木がまばらなになって、空港の中の飛行機の尾翼(赤色)が見えるところまで、伐採が進んだ。
切り倒した樹木や竹を整理するユンボ。ここでもかなりの面積が伐採されているのがわかる。
(撮影はいずれも5月11日)
■明日5月12日午後1時半から萩原進さんの清水の畑(去年10・8集会をやったところ)で、東峰の森伐採を許すな緊急現地闘争をやります。1人でも多くの仲間の参加を訴えます。
■4月23日から始まった東峰の森の本格伐採は、写真にあるように、連日強行されています。東峰の森から東側がすけて見えるようになりました。本当に許せません。
■しかも三里塚をめぐっては、市東孝雄さんの耕作権裁判(4月23日)や一坪共有地強奪訴訟の控訴審(5月7日)で反動的な訴訟指揮がつづいており、安倍政権の「戦後レジームからの脱却」と称する改憲攻撃の一環として露骨な〃三里塚つぶし〃攻撃が連続して襲いかかっています。
■また習志野空挺団と連携した成田市国民保護計画の名による成田空港の軍事基地化、市民・労働者戦争動員攻撃も具体化しています。
■反対同盟の怒りは頂点に達しています。現地闘争で闘争破壊攻撃を打ち砕き団結を固めていく、というのが三里塚41年の闘いのやり方です。5・12闘争から断固反撃に転じたいと思います。全力での結集をお願いします。
♪津軽〜平野に〜ぃい雪降〜る頃はょーぉ…♪♪(吉幾三の津軽平野)
夕方、農作業が終わって帰る途中バイクに乗りながら、良く歌って帰ってきます。青森の農民が出稼ぎから帰ってくるのを家族が心待ちにしている歌です。日本の300万農家のうち、専業農家は15%ほど。残り85%、255万は兼業農家です。そのほとんどは季節工や日雇い、土方、もしくは平日は会社勤めで休日に農業をする、土日農家です。いずれにせよ厳しい労働条件になります。
しかし、彼らがその厳しさを跳ねのけていけるのは、農民としての誇りであり、希望があるからだと思います。今、労働者が置かれている厳しさは、すでに農民であり労働者でもある彼らにも、おなじ痛みとして感じているはずです。
反対同盟が求める労農連帯は、すでにもっとも身近な所にあるのではないかと思っています。
しかし今、資本家と国は自分達が生き延びるためだけに、300万農民の首を切り落とそうとしています、絶対に許せません。今後もこの問題について述べていきたいと思います。(N)
■5月12日、反対同盟が呼びかけた緊急集会に、動労千葉、婦人民主クラブ全国協議会、全学連など110人の労農学が結集して、東峰の森伐採、市東さん耕作権裁判での反動的訴訟指揮、一坪共有地強奪裁判での抜き打ち結審など、連続する〃三里塚つぶし〃攻撃に反撃ののろしを上げました。
■会場の萩原進さんの清水の畑に集まった首都圏の仲間は東側の森を見て怒りの声を上げました。北東方向の樹木がなくなっているのです。少し視線の位置を高くすると萩原進さんの畑がまでが見えます。つまりその方向にむけて約70メートル幅で、木が切り倒されているのです。東峰区住民の怒りを参加者全員が共有しました。
鈴木幸司さん(左)といとさん(右)
■5月17日、鈴木幸司・いと夫妻が所有する一坪共有地取り上げ裁判の第2回弁論が開かれます。吹き荒れる司法反動の中で民法を使った土地強奪攻撃が強まっています。
■一坪共有地の場所は、成田市駒井野の空港敷地外。提訴したのは千葉県企業庁です。企業庁は「空港会社に転売するために共有地を金銭補償で取得したい(全面的価格賠償方式と呼ばれています)」旨、公言しています。何ということでしょう。企業庁としての自分で使うためでもなく、事業計画があるわけでも何でもない該当の土地を、転売するために裁判に訴えたというのです。緊急の必要性もありません。それも「金を積むから売却を認めてほしい」と裁判所に要求しているのです。例えて言えば、悪徳地上げ屋が、「転売するための土地をひとつにまとめたい」、そのために「一坪共有地を奪うことを、裁判所に認めてほしい」と言って訴えているような裁判なのです。
■まさに訴権(裁判に訴える権利)の乱用です。しかし、担当裁判長は現闘本部裁判で本部建物の実地検証を拒否しつづけている仲戸川隆人裁判官です。千葉県企業庁に加担する訴訟指揮のおそれが十分にあるのです。
■多くの人びとが傍聴に参加することを力にして、裁判長に提訴を即刻棄却させましょう。
■三里塚では、現地での北延伸にむけた攻撃とともに、裁判闘争における激しい攻撃が連続しています。4月23日の市東耕作権裁判では「求釈明を禁圧する」反動的訴訟指揮がなされました。5月7日の別の一坪共有地強奪裁判・控訴審ではわずか3回の口頭弁論で、突如結審という前代未聞の暴挙が強行されました。5月10日の現闘本部裁判では、仲戸川裁判長は、拙速審理を進めています。こうした反動裁判の流れをくつがえす傍聴闘争を展開しましょう。
鈴木幸司さん・いとさん夫妻が所有する一坪共有地
すぐ南側に隣接して空港がある
左手の森が鈴木さんの一坪共有地。正面奥が空港
17年振りにマヨネーズが値上げされるようてす。
バイオエタノールの需要の拡大により、食用油の原料の大豆や菜種を作っていた農家や企業が値段の良いバイオ用のトウモロコシに切り替え始めたのが原因だとか。さらに家畜飼料農家もバイオ原料に転換し始めたため、家畜飼料が高騰し家畜農家が悲鳴をあげています。ドイツでは麦がバイオ原料として使われるため、ビールの値上げも懸念されています。80%以上の食料を輸入に頼る(米を除く)日本では影響をもろに受ける事になり、マヨラーだけでなく、家計にも響く事態となります!
バイオに転換した農家にとっても問題が山積します。一旦転換をしてしまうと、今まであった農薬規制や遺伝子組替え問題のタガが外れ、際限の無い、土壌汚染(残留農薬)や種子汚染に陥ってしまい、元の作物を作る事が、困難になってしまいます。さらに深刻な問題として、現在世界の人口のうち、8憶以上の人が栄養不足で飢餓に苦しんでいますが、更なる飢餓人口の増加が危ぶまれていいます。
これだけ見ても、バイオエタノールが人々の生活と相容れないものとして問題が爆発するのは明らかです。
市東さんの畑に立って
成田クリーンパークを見学
■5月20日、吉川洋県議、足立満智子成田市議が呼びかける「市東さんの農地取り上げに反対する会」によって、畑調査を目的とするフィールドワークと勉強会が開かれました。勉強会では匝瑳市の水田農家の現状が報告されて、この問題の背後にある農業破壊の深刻さについて認識を深めました。市東さんの畑では、市東さん自身の話を聞き葉山弁護士が解説。参加者は畑にたって見聞きし、取り上げの不当を確信。畑に入ってブロッコリーやラディッシュを収穫しました。そして夜の懇親会と、盛りだくさんの行動に反対同盟も参加し、交流を深めました。
■成田空港関連企業で構成する「成田空港の機能拡充と地域経済の活性化を実現する会」(会長=野間口勉成田商工会議所会頭)は、5月11日、成田国際文化会館で190人を集めて「平行滑走路の3500メートル以上への延伸などを求める」大会を開催しました。空港会社の黒野匡彦社長も参加し、「成田がこのままでいいのか、という視点で議論してもらいたい」と地元財界の動きを歓迎するあいさつをしました。
■冗談ではありません。暫定滑走路の3500メートル以上への延伸は、北に延伸して2500メートルにするのに加えて、さらに南に1000メートル以上延長しようという話です。そこには3軒の農家を含めた計4軒の住民が暮らしているのです。この東峰区の住民をどうしようというのでしょう。「死に追いやる」(5月12日の緊急集会での萩原進事務局次長の発言)という話です。
■それもこれも空港関連企業私的利益のためです。他人を踏みにじり犠牲にして、自分たちの利益だけをむさぼる――これが、成田商工会議所などの主張していることなのです。こうした考え方こそ、格差社会に象徴される今の社会の荒廃の根源です。同盟員の市東孝雄さんの耕作権を奪うために「1億8千万円の補償がされるのだから何の文句があるのか」(昨年9月14日、千葉県農業会議)という暴言が飛び出すことにつながる発想です。
■「し烈な競争に勝ち続け、自らがのし上げり続けなければ生存そのものが許されないような世の中で、誰がマトモに生きていけるだろう」(32歳=元フリーター)という告発の声が、今若者たちの間で爆発的に広がっていますが、私たちはこうした告発の先頭に立ちたいと思います。
■国や権力や金持ちの横暴にあくまで抵抗しぬく、これが反対同盟の主張です。私たちの闘いはすべての人の生きる権利、幸福を追求する権利を守ることにつながると確信しています。3500メートル以上の延伸という暴挙を許しません。
市東さんの庭の柚子の花が満開です。
蜜を求めていろんな虫達が寄ってきます。日本蜜蜂は群を成して花から花へと夢中で飛び回り、黄金虫は花に頭を突っ込んだまま動きません、熊ん蜂と蝶は蜜蜂の間を縫うようにして蜜を吸っています。
花の写真を撮ろうとして木に近付くと柚子の優しく甘い香りに包まれました。
裁判後の報告に臨む葉山弁護士、鈴木幸司さん、鈴木いとさん
5月17日、千葉県企業庁が提訴した鈴木幸司さん・いとさん所有の一坪共有地裁判第2回口頭弁論が千葉地裁(仲戸川裁判長)で開かれました。
この裁判は千葉県企業庁が転売目的で鈴木さんの一坪を奪い取ろうという、不当きわまりない提訴です。まさに悪質な地上げ屋まがいです。この日反対同盟は開廷前に裁判所と県庁前でビラまきをおこない、多くの人々にこの不当提訴を訴えてから傍聴に臨みました。
傍聴席を埋め尽くした人々が「不当な訴訟指揮は許さないぞ」という気迫をみなぎらせる中、弁護団による力強い弁論が企業庁側を圧倒しました。
前回裁判で鈴木幸司さんが全面的にこの提訴を弾劾する意見陳述をおこないましたが、それに引き続き、弁護団は「なにより本件提訴は却下されるべき」との主張を力強く展開しました。
そもそも提訴する明確な法的根拠もなく、転売するとあからさまに言っています。そのために一坪共有地をよこせなどというのは訴権の濫用です。しかも転売先である空港会社の空港建設は、違法の連続なのです。違法を後押しするような土地取り上げなど絶対に認められません。
「企業庁は提訴の法的根拠を明らかにすべし」
このことを突きつけて、裁判は次回に引き継がれました。
閉廷後控え室で行われた報告会では葉山岳夫弁護士と遠藤憲一弁護士があいさつ。裁判の内容説明と今後の方針や決意が述べられました。
続いて鈴木幸司さんといとさんがあいさつ。鈴木幸司さんは「今闘っている反対同盟で金を目的に闘っている者はひとりもいない。どんなことをしてもこの土地は空港会社の連中には渡さない。この土地は絶対に空港の用地にはしない、その一念でみんな闘っている。完全に勝利するまで闘い抜きたい」と固い決意を述べました。
次回の公判は7月26日午前10時30分からです。
裁判所に公正な裁判を行わせるため、多くの皆さんが傍聴に駆けつけてくださるよう訴えます。
※報告会での葉山弁護士のお話※
本来訴訟すべきでないことを訴訟してきている。これは民事訴訟制度の悪用であり、許されません。なぜなら空港建設そのものが違法だから。土地をまとめて空港会社に売りつけようと。高く売りたいから県の土地にしてくれと。悪質な地上げ屋まがいです。ここはかなり重要な問題なので明確に回答を求めていきたい。
全面的価格賠償方式は、最高裁が判決において自分で考え出したものです。本来法律は立法府である国会が作るもの。最高裁判所が勝手に法律を作るなんて言うのは司法の越権行為で許されるべきことじゃないのに、判例で勝手に(全面的価格賠償方式が)許されると言い切っている。
学者の中でも反対意見が多い。反対する人間がいるのに強引に全面的価格賠償方式を適用するのは、一種の私的な強制収用だ、民法で認められるはずがないものだと。
そういうものを地上げのために使う。とんでもない話だ。
次回は(却下されれば別だが)、この提訴が要件を満たしているのか、さらに追求していきたい。こちらからはこの一坪共有地が組み合い財産で勝手に売買などできないことを明らかにしていきたい。
一瀬弁護士のお話(1)
一瀬弁護士のお話(2)
鈴木さんの一坪共有地裁判について
提起する一瀬敬一郎弁護士(右)
(1)から続く
■違う点というのは、鈴木さんの裁判の方は県が主体で、空港建設と比べても事業の性格が破産しているということです。県は一坪共有地を取得した後に「空港会社に譲渡する」と言っています。緊急性も必要性もない裁判です。
■空港会社が起こした一坪裁判が一審で価格賠償方式を認めたことを見て、悪乗りして民法でとろうという悪らつな意図で、無理を百も承知で提訴してきているのです。しかしあの一審については、本当に不当判決です。民法の学者の鑑定書も提出しました。三里塚の先輩である富里で「富里地区周辺に土地を持つ会」という組合を作って一坪共有運動が行われたわけですが、空港計画を中止に追い込んだ後に、共有地は土地提供者に返されているわけです。こういう経緯を加瀬勉さんが証言しました。こういう実例がありながら、組合有という同盟側の主張を認めなかった反動的判決でした。
■今、司法の反動化が激しく起こっています。例の裁判迅速化法がその最たるものですが、以前は千葉地裁でも、例えば先ほど述べた鈴木さんの成田用水裁判でも10年以上やりました。その時は証拠収集の時間とかについて、裁判所側は最低限の配慮はしてくれた。
■ところが、現在の司法は、枠の中にあてはまて、結論ありきのようなやり方を露骨にしてきている。司法の名を借りた行政権力の代行しているのが実態です。このように裁判闘争自体が大きく変貌してきています。裁判という場をどのように闘うか、どのように活用するかも含めて考えて行きたいと思います。■農地死守は三里塚の原点中の原点です。だから41年の闘いがあるわけです。三里塚正義のかたまりのような運動です。ですから全国、全世界に打てば響く運動を作ることにも成功している。
■同時に訴えたいのは、裁判所を監視する法廷外の運動の重要性です。そのためには、三里塚闘争全体を再興していかなければならないと思います。鈴木さんの裁判は単なる一坪共有地裁判ではありません。反対同盟の闘いに確信をもって、これから何年でも何十年でも闘います。
市東さんの耕作権裁判は、成田空港会社(NAA)による農地取り上げと闘う裁判です。
問題になっているのは、反対同盟・市東孝雄さんの祖父が開墾してから、90年間耕作してきた畑です。NAAは18年も前に畑の底地を旧地主から違法に買収しましたが、今になって突然、農地法を乱用した違法手続きで取り上げようとしています。他方で、畑の一部を「会社の同意なく占有している(不法耕作)」として不当に明け渡しを求め提訴してきたのです。本件はその裁判です。
戦後の農地改革を引きつぎ、耕作者の権利を守ることを目的に制定された農地法を悪用して、農地をとりあげる提訴は許されるものではありません。一種の法の破壊です。
そもそも問題の畑は土地収用法が18年も前に失効して、任意買収以外に取得の手段がなくなった農地です。それを農地法で奪おうとしているのです。
その他にも、市東さんの耕作権取り上げ問題では、農地法、民法に関しての数々の違法・不法行為が重ねられています。
常識では考えられないこの事件の背後にあるものは、いま激しく進行する農業つぶしと農地法の廃止問題です。憲法改悪といっしょの動きなのです。
今後、知事の決定の不当を明らかにする行政訴訟、賃貸借の対象とされる農地の明け渡し訴訟との闘いが始まります。農地と耕作権をめぐる一連の大裁判になります。ご支援をお願いします。
暴力的な三里塚闘争破壊に今こそ反撃を
■今、三里塚に対し、安倍政権の憲法改悪・戦争体制づくりの攻撃と一体となって、闘争破壊の攻撃が強まっています。北延伸計画にもとづくさまざまな物理的攻撃が行われています。東峰の森の伐採が連日強行され、東峰区はフェンスで分断され、窒息するような状況です。頭上40メートルのジェット機の飛行は連日つづいています。成田クリーンパークでは覆土(ふくど)工事が始まろうとしています。公然たる国家犯罪が強行されているのです。
■その上に、今度は暫定滑走路の「3500メートル化」などという耳を疑うようなキャンペーンが、空港会社・地元利権団体によって開始されました。昨日の産経新聞1面にはこのキャンペーンの片棒をかつぐかのように、「熱田派農家の鶏舎移転」をネタに悪どい報道を行いました。
■市東耕作権裁判をはじめ三里塚の全裁判で、反動司法権力を使った訴訟指揮が、連続しています。4・23弁論では菅原崇裁判長が求釈明の禁圧という指揮を行いました。5月7日は、一坪共有地強奪裁判の控訴審で、結審が強行されました。わずか3回の弁論です。5月17日の現闘本部裁判で仲戸川隆人裁判長は建物の検証を行わない姿勢を明らかにしました。これらすべてが、安倍政権と相通じた三里塚つぶしです。
■成田空港の軍事使用をめぐっても、激しい動きが出ています。日米の共同作戦計画である「概念計画5055」をこの秋までに実戦化するため、成田、関西新空港などが本土における米軍の最重要の軍事基地に指定されました。この動きと表裏一体となって、成田の国民保護計画が3月31日発効し、習志野の空挺団が空港防衛の指揮をとることになりました。米軍の戦略的基地が三里塚のような闘いの陣形に包囲されることは、安倍政権にとって死活問題です。
■改憲投票法成立、教育4法改悪案の衆議院通過、「集団的自衛権解禁」にむけた懇談会の開始など安倍政権の戦争攻撃と一体となって、三里塚でも一線を越えた闘争破壊が押し寄せているのです。反対同盟をはこれらの攻撃と真っ向から闘いはね返すために、6・16現地闘争に全力で立ち上がりたいと思います。労農学との団結と連帯が勝利のカギであると確信しています。首都圏や関西をはじめとした仲間の全力での結集を訴えます。
要項:6月16日(土)午後1時30分 萩原進さんの畑(東峰の森わき=去年10・8全国集会場)