●アジア・ゲートウェイ戦略による三里塚闘争つぶしとたたかう(2)

新誘導路工事
空港内で、新誘導路が暫定滑走路の南端に接合する部分で行われている工事=東峰十字路北側開拓道路より撮影 (8月25日)
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■アジア・ゲートウェイ構想が労農学にもたらすものは、三里塚闘争への直接的な破壊攻撃にとどまりません。究極の「民営化・規制緩和・資本攻勢」に道を開くものなのです。
安倍首相は5月16日「アジア・ゲートウェイ構想」(安倍首相が議長を務める同戦略会議が作成)を発表し、直後の5月31日の日本経団連第6回総会で、「日本をアジアのゲートウエイにする一環としてアジア・オープンスカイ航空自由化政策をとりまとめた」と表明しました。 
■オープンスカイとは航空分野の全面的自由化のことですが、アジアの全空港への乗入れ権を得るために日本の空港を全部開放するということです。現在は乗り入れ空港も便数も相手国ごとに航空交渉で決め、日航、全日空等国内航空企業を保護していますが、それを転換して日本とアジアの全域で国際航空資本との激烈な競争戦に入るということを宣言したのです。
■羽田−福岡などの国内線にユナイテッド航空やノースウエスト航空が参入することを避けることができません。そうなると日本の航空産業は生き残れるかどうか、保証はありませんが、財界と安部政権は、そこまでの決断をしたということです。


新誘導路工事
■それでもたらされるものは、安全無視のスピード競争と料金値下げ合戦であり、何よりも航空関連労働者の労働条件無視の低賃金化競争をもたらすのは不可避です。
■さらに競争は空陸を一貫する体制づくりを促進します。その結果、JRや高速トラック・バスを始めとする輸送産業全体の大競争と関連労働者の労働条件切り下げ・低賃金化を引き起こします。
■すでに日本発の国際小口貨物市場の7割は世界の空陸一貫体制を構築している多国籍企業=DHL(ドイツ)とFedex(アメリカ)、UPS(アメリカ)に占領されています。日本航空や日通・近鉄の空陸輸送連合がこの市場に参入しようとしていますが、国際大手に呑み込まれるのは必至です。
■このように、アジア・ゲートウェイ構想にもとづくオープンスカイ戦略は、空にとどまるものではなく、国内物流の大再編を促進します。 しかも物流の競争戦は生産・販売など全産業の市場再編と大競争戦を巻き起こします。この競争戦に障害となる国内的規制は全部破壊するという攻撃が加えられてくるでしょう。つまり、大民営化攻撃の波をもう一度巻き起こすことになります。
■このようにアジア・ゲートウェイ構想は、全労働者の利害にとって、のっぴきならない攻撃を引き起こそうとしています。その最大の攻撃がオープンスカイであり、そのための首都圏国際空港容量の拡充=成田空港の拡張です。
■三里塚闘争はこのアジア・ゲートウェイ構想の前に真っ向から立ちはだかる闘いです。労働者や農民を犠牲にして生き延びようという、財界と安倍政権ののど首を押さえる決定的な闘いとなりました。私たちは民営化と規制緩和を阻止し、全労働者の利益を守る拠点として、労働者の皆さんとともに闘います。

  

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