Farmers League Against The Narita Airport

　11月25日、東京山手教会で行われた「星野文昭さんに自由を！」の集会に参加してきました。今から35年前の渋谷闘争の件で、星野さんは無実の罪で投獄され、無期懲役の刑を受け、32年間の獄中闘争を貫いています。星野さんは、今年60歳を迎えました。何故、無実の人が32年間も？35年前何があったのでしょうか？
　今から35年前の日本―1945年の敗戦とともに沖縄は米国領となり、パスポートがないと行けないところでした。1972年に沖縄は日本に返還されましたが、それは、沖縄の人が望むかたちの返還だったでしょうか?　当時小学生だった私も子供心に1ドル360円でなくなったこと、当時の首相が戦後初の中国訪問を行ったこと、沖縄が返還され大喜びのニュースをテレビでやっていたことは覚えていますが…。
　でも答えは否でしょう。日本にある米軍基地の75％が、国土面積１％たらずの沖縄に集中しています。沖縄は今も島全体が基地なのです。沖縄の人たちは基地のない平和な島として「本土復帰」することを望んでいたのではないでしょうかこれで「復帰」とは言えないと、未だに多くの人が語る現実があるのです。
　返還前の1971年11月、星野さんたちは沖縄返還協定の批准阻止闘争に立ち上がりました。まやかしの返還批准は許さないと。沖縄の人と連帯したたたかいです。首都東京で、多くの学生や労働者、市民が街頭で激しい反対デモを繰り広げました。
　その闘争の喧騒の中で、1人の警察官が死亡します。国家権力はそれを星野文昭さんがやったと決めつけ、証人にうその証言をさせてまで無期懲役刑を確定させました。服の色が明らかに違う、当日いた場所も違う、殴ったりもしていない、やっていない…。星野さんが警察官死亡事件の「犯人」ではないことは、多くの証拠で明らかになっています。やっていない人を裁くことも、罰することも、刑を科すこともできないはずです。この国の裁判所や国家権力は何とひどいことをするのでしょう！星野さんが自分の信念を貫いて国の政策に逆らったからでしょうか？長年三里塚で生きてきた自分には人ごととは到底思えない。
　沖縄の現実を見てください。世界の人々を殺すための基地はいらない、基地による犯罪も後を絶たない、新基地建設は論外だと、おじい・おばあが辺野古の海で長期間連日にわたって海上デモや座り込みを続けています。知事選では保守が僅差でせり勝ち、沖縄県民は平和より経済を選んだと言われますが、そうでしょうか？知花さんが講演で言われていましたが、二者択一ではなく、誰もが基地のない島・平和を望んでいるのです。まやかしの返還だという当時のたたかいは正しかったのです。
　集会は、ヨッシーとジュゴンの家の歌、渋谷事件のビデオ上映、加藤明夫・河野和代さんの歌と語り、知花昌一さんの講演、弟の星野修三さんのパフォーマンスなどがあり、星野さんをなんとしても奪還したいという熱意があふれでていました。知花さんが、「星野さんのたたかいは沖縄の人の気持ち・たたかいそのものである」と言っていたのが印象的でした。
　徳島刑務所でついに友人面会が実現し、面会では星野さん共々泣いてしまったと感激の報告がありました。私は2年前星野さんの集会に初めて参加しましたが、そのときはこのようなことが実現するとは思えませんでした。それが今年までの間に、家族以外の人からの手紙の受け取りとあわせ大きく前進しました。今までがあまりにひどかったこととはいえ、星野さん暁子さんの力、全国の支援の人の力で変革し実現したのです。
　集会の圧巻はやはり星野暁子・福地一義さんによる朗読劇です。暁子さんは自身の家族のこと、文昭さんとの出会い、獄中の星野さんのたたかいの辛さ、強さに思いを馳せたこと、好きになった人がたまたま獄中にいるのだ、いつも別々のところにいて別々のことをしている二人だけど、共に生きていると感じあっていること、その関係を築き深め合っていきたいと語りました。文昭さんも暁子さんの存在があるからこそ、無実という真実を全面的に出して再審を実現しようと思い至ったことを語りました。
　困難な状況のなかにあって二人の強い絆にいつも胸をうたれます。恋人や夫婦なら、手をにぎりあったり口づけをしたりすることは普通なのに、二人にはいまだそれが実現しえていない。限りある面会時間、それも看守つき、アクリル板に阻まれたまま…。国家権力は冷血でなんて非人間的なのでしょう！
　星野さんは渋谷闘争以前に何度も三里塚の地に来てたたかっていました。私自身も星野さんの東京での裁判のとき何度か傍聴に行ったこともあります。何としても全国の皆さんの力で、無実の星野さんを一刻も早く獄中から奪還しましょう。暁子さんのもとへ私たちのもとへ取り戻しましょう。