6月18日、千葉地裁民事第5部で一坪共有地裁判が開かれました。
この日は、松並重雄裁判長から鹿子木康(かのこぎやすし)裁判長への交代に伴う更新手続きとして、弁護団が意見表明をおこないました。
この裁判は、千葉県企業庁の「新産業三角構想」による「成田国際物流複合基地計画」の一環として、一帯の土地を造成し成田空港会社(NAA)に譲渡することを目的に、2006年に千葉県が一坪共有地の明け渡しを求めて起こしたものです。
しかし、提訴から9年、この事業計画はとっくに破綻(はたん)し、県企業庁は130億円という膨大な債務を残したまま、今年で解散することが決まっています。現状はどうなのか、引き継ぐ事業体はどうなるのか、弁護団の再三の追及に、千葉県側は関連文書の提出要求にも応じないまま逃げ回っています。
一坪裁判で3人の証人採用勝ち取る
そもそもこの一坪共有地は、空港反対運動の中でつくられた「三里塚地区周辺に土地を持つ会」の組合所有であり、共有者個人から買収することはできません。千葉県はそれを、「全面的価格賠償方式」(拒んでも金銭補償の形をとって取り上げる)で強奪しようというのです。市東さんの農地裁判同様、裁判所を使った事実上の公用収用であり、違憲・違法です。
こうした内容を弁護団が次々と立って意見表明しました。
さらに今回、弁護団の7人の証人申請に対し、3人の証人採用を勝ち取りました。
しかし、県企業庁役人や元NAA幹部など残りの4人の敵性証人については採用を留保されました。真実を明らかにするために、これら敵性証人も採用させなければなりません。
今後の裁判と証言のスケジュールは以下の通りとなります。三里塚裁判闘争全体にとっても重要な証言となります。ぜひ傍聴にお集まり下さい。
①9月3日(木)午後1時30分
清水和邦・福井県立大学教授
※「土地を持つ会」の民法上の性質などについて証言
②10月29日(木)午後1時30分
小長井良浩弁護士
※「土地を持つ会」の会則の作成、成立の経過などについて証言
③12月17日(木)午後2時
鎌倉孝夫・埼玉大学名誉教授
※経済学的観点から成田空港の"公共性"の虚構について証言