10・9全国集会-基調報告

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基調報告         (2016.10.9)

 三里塚闘争50周年を迎えた本年の闘いは、まさに激闘の一年であり歴史的一歩を踏み出した年でした。昨年の10・11集会において宣言した「最高裁による強制収用許すな! 第3滑走路粉砕! 安倍政権打倒!」の闘いを猛然と闘い抜きました。《強制収用を許さない最高裁緊急5万人署名》を賛同署名とセットで推進することで、運動の広がりと支援陣形構築に成功しました。以下、総括と方針を提起します。

Ⅰ) まず何よりも市東さんの農地死守の決戦として勝利してきました。農地法裁判は昨年8月10日の上告以来1年2か月が経過しており、最高裁の判決が切迫しています。3度の署名提出行動と9・7最高裁デモを闘い、農地取り上げの違法・無法を訴えてきました。提出した署名数は総計20539筆にのぼり、上告棄却を許さない大きな力になっています。また、千葉地裁の耕作権裁判を一体の裁判として集会とデモで迎え撃ち、攻勢的に闘うことで勝利的に進んできました。「耕作者に権利あり」「市東さんの同意のない農地売買は無効だ」「農地の強制収用は絶対に許さないし、許されない暴挙である」ことを徹底的に訴えて、今後も署名運動を軸に闘いましょう。
 二つ目は、7・3三里塚50周年東京集会が630名の結集で大成功したことです。映画「三里塚の夏」、福島菊次郎写真展で闘争の原点を振り返りながらも「三里塚の今」を伝えることにこだわり、市東さんの闘いへの支援・連帯を第一に訴えました。署名運動をしていると「まだ続いてるんですか」「知らなかった」という声が聞かれます。この状況を打ち破り、市東さんの闘いを全国に知れ渡らせるためにこそ、50周年集会はあるからです。この一年を通じて三里塚キャンペーンの年として、積極的に活動してきました。その成果が集会の感動を生み出したものと考えます。
集会参加者、発言者、それぞれの「三里塚」が、現在進行形の「今の三里塚」とつながりました。そして、国策と闘う柱として三里塚・沖縄・福島を結び、一体性と連帯を強め元気の出る集会になりました。三里塚闘争が50年という長期にわたって闘い続けている意義は計り知れません。参院選の真っただ中に三里塚集会があったことも意義深く感じました。皆さんの参加、集会への賛同とカンパ、ブース出展のご協力にあらためて感謝申し上げます。
 三つ目に、第3滑走路建設との闘いです。9月27日、国とNAA、千葉県、地元9市町による「4者協議会」が開かれ、芝山町の菱田・大里地区などに3500mの滑走路と旅客ターミナル、貨物施設など含めた新たな空港敷地は1000haも拡大するというとんでもない計画を発表しました。この規模は空港をもう一つ造るに等しいものです。これによって少なくとも約200戸が移転、新たに約2000世帯が騒音下に入ると言われています。空港にとっても、住民にとっても、最大の問題は発着時間の3時間拡大です。つまり夜間飛行制限を午前1時から5時に縮小するというのです。これは単なる制限の緩和ではなく、実質的に24時間空港に他なりません。「飛行制限」という言葉はまやかしです。
 反対同盟は、構想が明らかになった3年前から毎月の空港周辺地域への全戸ビラまきの宣伝活動を続け、第3滑走路をはじめ空港機能強化策に反対してきました。騒音下住民は「騒音と落下物対策もないのに被害ばかり押し付ける」やりかたに怒っています。千葉県知事の森田健作は「日本の発展には素晴らしいこと。良かったと思えるようにしていく」と金もうけ優先の本音を語りながら、その恩恵があるかのように言いくるめようとしています。また、「住民」の名を語り推進運動をしてきた「実現する会」も「有志の会」も、商工会・土建会社・不動産屋・闘争脱落者などの利権目当ての輩です。地域のことなどどうでもよくて、目先のカネが目的なのです。もっとも、そのことは地元住民もよく知っています。
 すでに3日の成田騒対協(成田空港騒音対策地域連絡協議会)への説明を皮切りに、横芝光町、芝山町、多古町での住民説明会が6日から17日の予定だけで13回連続して開かれようとしています。反対運動がおこる前に一気にかたをつけようという卑劣な意図が明らかです。6日の横芝光町の説明会では約90人が参加し「開港当初の約束を厳守してもらいたい」「4時間しか寝るなということか」「国の政策の犠牲になるのはまっぴらだ」などの怒りの声が上がっています。JR横芝駅周辺の中心街が新たに騒音区域に入るというのだから、住民は絶対に受け入れられない。「寝室に内窓をつける」のが騒音対策だって!ふざけるな!生活のすべてが騒音にさらされるんだ。こんな住民無視が許されるでしょうか。本当に怒りに堪えない。移転を迫られる住民は不安がつのり、将来を描くこともできません。われわれはただちにこの暴挙を弾劾する宣伝活動を行い、住民への決起を呼び掛けています。豊かな農地と里山、自然環境破壊、地域破壊、生活破壊を許さず、第3滑走路粉砕=軍事空港阻止へ周辺住民と共に闘いましょう。

Ⅱ)とりまく情勢を見るならば、安倍強権政治が激しさを増し、人民の闘いへの攻撃が強まっていると感じます。
安倍政権は7月参院選後、ただちに沖縄・高江に機動隊500名を派遣し、反対する住民・市民を暴力的に排除し米軍ヘリパッド建設を強行しています。辺野古違法確認訴訟では9月16日、あの多見谷裁判長が国側の主張を代弁し、国側勝訴の判決を出しました。出来レースとはいえ、多見谷裁判長と国側代理人の定塚誠の三里塚コンビによる、あからさまな国策強制裁判にはあきれるしかありませんが、最高裁で多見谷判決を串刺しにしてやろうではありませんか。また、反原発運動に対しては、経産省前テントの強制撤去が早朝3時から強行されました。
 そして福島では、子供たちの甲状腺癌ないし疑いが175人にのぼり、136人が甲状腺摘出手術を受けているという深刻な事態にもかかわらず、被曝の影響を隠すため県は検査の縮小・打ち切りへと動いています。自主避難者への住宅支援打ち切りや帰還強制を許してはなりません。あらゆる場面で国策を強制してくる安倍政権を何としても打倒しましょう!
 さらに国会では、TPP承認案・関連法案が審議されようとしています。問題はコメなどの農産物だけではなく、医療や公共事業などにも影響が及びます。TPP批准を阻止しましょう。南スーダンPKOでの自衛隊の武力行使に反対し、戦争法を廃止させましょう。ヘイトスピーチや「障害者」虐殺など、差別・排外主義の空気が広がりつつあります。労働者が人間らしく働き、生活できる社会に変えていくことが根本的に必要です。闘う労働運動が待った無しに求められています。パククネ打倒・朝鮮核戦争阻止へ18万人のゼネストを闘う韓国・民主労総に連帯し、11月国際共同行動(11・6日比谷、11・12~13ソウル)に立ち上がりましょう。

Ⅲ)成田空港建設とは、農業破壊と引き換えに資本が生き延びようとする経済至上主義の国策であり、軍事転用をにらむ戦争準備でもあります。それとは逆に、私たちの有機農業は生きた土を作ることから始まり、あらゆる命と共生する農業です。その土と農地を破壊する開発や原発、軍事基地建設、戦争とは相いれません。農民には体をはって農地を守る理由があるのです。
 三里塚はこれからも農地を守り第3滑走路粉砕・軍事空港阻止を貫きます。「農地は命」を合言葉に市東さんの署名を訴え、新たな出会いと支援・共闘を求めて幅広く運動を進めていきます。みなさん、共に闘いましょう。

★10・17耕作権裁判・千葉地裁包囲デモへ (9時集合、場所千葉市内)
1・9新年旗開き、3・26全国総決起集会(成田市街地)に結集を!

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