強制執行は権利濫用以外の何ものでもない

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―請求異議裁判で早期終結許さず、本格論戦切り開く

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 8月10日、千葉地裁民事第5部(高瀬順久裁判長)で「請求異議裁判」の第3回弁論が開かれました。
 最高裁判決にストップをかけるという裁判の重大性から、1回1回が緊迫の攻防ですが、3回目となる今回は、今後の展開を方向づける大事な裁判でした。
(写真は署名提出行動)
 裁判に先立つ決起集会・デモには100名の皆さんが集まってくださり、裁判も約70の傍聴席を埋め尽くして10時30分から始まりました。
 

 弁護団は冒頭、請求異議が認められた事例が多数あることを明らかにして、「いたずらに確定判決を神聖とするな」「被告による強制執行権の行使は権利濫用で許されない」と断じました。そして、3点にわたってその理由を展開しました。
 1つには社会的公約の問題です。
 成田空港会社(NAA)は、1993年の成田空港問題シンポジウムで「強制手段は用いない」と公言し、自ら収用裁決申請を取り下げたのに、農地法裁判の反動判決が確定するや、それまでの沈黙の態度を一変して強制執行をあからさまに求めてきました。
 公約をかなぐり捨てた不誠実な居直りは、裁判における「信義則違反」です。
 2つには1971年の第2次強制代執行の違法無効性を争う裁判での和解との整合性です。
 故大木よねさんの遺族である小泉英政夫妻(東峰在住)とNAAとの間で2015年に成立した和解で、国、県、NAAは代執行について、「空港建設を急ぐあまり話し合いの努力が足りなかった」と謝罪しました。
 その一方で、市東さんに対しては「話し合いの努力」など一切なく、土地の明け渡し訴訟を起こし、その判決を振りかざして強制執行を求めるなど許されません。
 3つには転用計画が真っ赤なウソだということです。
 市東さんの南台耕作地のうち、空港敷地外の部分について、NAAは「GSE/ULD(貨物用機材・特殊車両)の置き場にする」と主張しました。
 しかし、実際には別なところに大規模な機材置き場の拡張工事を完成させており、南台を置き場にする必要など初めからありません。解約許可を県知事からかすめ取るために急きょでっちあげた架空の転用計画だったことがはっきりしたのです。
 1時間にもおよぶ弁論で、弁護団は「強制執行は権利濫用以外の何ものでもない」ことを明らかにし、傍聴席も拍手と歓声でこれを後押ししました。
 弁論が一区切りし、高瀬裁判長が今後の進行に言及しようとすると、機先を制するように弁護団がさらなる主張。「空港機能強化」と称してB滑走路北延伸、第3滑走路建設計画についても、「口頭弁論終結後の事実」として請求異議の訴えに加えていくことを予告するなど、今後の裁判進行についても主張を認めさせました。
 次回の期日は日程の調整がつかず未定です。決まりましたらお知らせします。

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