何が最終調整だ! 住民は全く納得していない

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――国と空港会社は再度見直しを行う方針を固め、運用時間の延長幅はこれ以上短縮しないものの、深夜・早朝の滑走路の使用の制限をより厳しくして、騒音の影響が大きい地域で航空機が上空を飛ばない時間を6時間から7時間に延ばす方向で最終調整していることがわかりました。(NHK報道)――

※リンクが残っている限りNHKニュースはこちら

 成田空港の機能強化案をめぐって1月31日に出された千葉県と地元9市町の要望に対して、国とNAAが上記のような回答を示すと報じられています。これは昨日のビラに書いたように、合意に向けた出来レースです。
 ビラでは「夜間延長を前提に、30 分でも短くなったら「大成果」として受け入れることが見え見え」と批判しました。そうしたら出てきた改善案が「1時間の短縮」。30分でも1時間でも同じことです。
 「運用時間の延長幅はこれ以上短縮しない」-ここがミソです。「スライド運用」なるペテンの時間幅をちょっと変えるだけ。住民をなめるな!

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 図は2017年7月5日付毎日新聞から。
 5:00-23:00と6:30-0:30の組み合わせで、それぞれ6時間の睡眠時間が確保できるとしていました。今回の案は、これを5:00-22:00と7:30-0:30にするというもの。しかし、騒音は真下だけが受けるのではありません。飛ばない時間が4時間半であることは何ら変わらないのです。何ら変わらない提案を住民の声に配慮したかのように宣伝することじたい、住民をなめています。
 しかも「スライド運用」には「ただし、0 時30 分から1時までの30 分間は弾力的運用を行います」という但し書きがつきます。弾力的運用(カーフュー)は「やむを得ない場合」としていますが、実際は毎日のように飛んでいます。航空会社は金を払ってでもその方が特だからです。機能強化案で飛ばない時間は実質4時間なのです。

 千葉県と9市町の要望では滑走路間の谷間地域にも「対策の拡充を」としていますが、「そもそも対策の対象に入るべき地域にちょっと範囲を広げようというもの。内窓は何ら決め手になりません。これ以上騒音を増やさない、それしかありません」(同盟ビラから)
 さらにスライド運用の前に、A滑走路についてはただちに「C滑走路供用までの当面の間、A滑走路において現在の運用時間を1時間延長し、6時から0時までとします。(ただし、0時から0時30分までの30分間は弾力的運用を行います。)」としていたはず。これはどうするつもりか。注視する必要があります。
 A滑走路の運用時間延長の最大の問題は、現在行われている午後10時台の便数制限を無くそうとしていることです。現在でさえ、音のうるさい貨物機がこの時間に飛んでいます。多くの人が就寝する時間帯の便数制限を無くせば、騒音被害で睡眠障害を引き起こすことになります。

 NHKニュースでは、空港の南側に騒音被害が広がり、住民の怒りや反発が強いことを報じています。たしかに芝山町や横芝光町の怒りは激しく、私たちも交流し、また報じてもいるところです。しかし、北側だって全く同じ問題が起きます。機能強化案にはB滑走路の1000メートル延長も含まれるからです。(もし造るとなったら、第3滑走路よりこちらの方が早い)成田市の北側だけでなく、茨城県の稲敷市や河内町も横芝光町と同じ問題に直面することになります。

 「他空港との競争に劣後することなく成田空港の更なる機能強化を図っていくためには、 4:00~2:00を運航時間とすることが理想的であることが確認されました」(NAAのサイトより)-これがNAAのホンネです。しぶしぶ5:00-0:30(実質は5:00-1:00)にしましたが、これ以上は1ミリも譲ろうとはしません。
 さらに言えば、ホンネのホンネは24時間化。だから絶対に住民の立場に立つことなどありません。国も県も含め、いかに金と振興策(ゼネコンを儲けさせるだけ)で住民を黙らせるかしか考えていません。ここで譲ればあとはなしくずしです。
 命と地域の未来を守るには白紙撤回しかありません!

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