9月2日に行われた新やぐら裁判控訴審(東京高裁第2民事部・渡部勇次裁判長)の反動判決に対し、私たちは9・4現地闘争に先立って記者会見を開き、弾劾声明を発しました。
弾劾声明は集会の中で宮本麻子さんが読み上げ、全体で確認しました。
以下にテキストを掲載します。(PDFはこちら)
弾劾声明
東京高裁第2民事部・渡部勇次裁判長は9月2日、われわれ反対同盟の控訴を棄却し、反対同盟員・市東孝雄さんの天神峰農地に建つ反対同盟所有のやぐら・看板の収去を認める反動判決を下した。しかも、一審では認めなかった仮執行宣言(判決確定前の強制執行が可能になる)を付けた渡部裁判長の悪逆非道の行いを断じて許すことはできない。満身の怒りをこめて徹底弾劾する。
今回の判決と別件裁判での確定部分を合わせると強制執行の対象となるのは、市東さん宅前の畑、育苗ハウス、トラクター置き場、作業場、水道、トイレなど生活と営農に必要不可欠なもの一切合切が含まれる。決戦の火ぶたは切られた。われわれ反対同盟は、一歩も引くことなく、体をはって市東さんの農地を守りぬき、空港廃港まで闘いぬくことを宣言する。
そもそも成田空港会社(NAA)はやぐらと看板が建つ市東さんの農地の所有者ではなく、明け渡しを求める権利はない。空港公団(現NAA)は市東家に秘密裏に地主から「買収」していたなどと言うが、具体的な転用計画がないままに農地を取得することなどできない。ましてや、15年間も移転手続きを行わず、農地として使われることが前提の耕作権付きの売買では、耕作者の同意は必須不可欠だ。NAAによる農地の「取得」は重大な違法・脱法行為であり、裁かれるべきなのはNAAの側だ。
ところが渡部裁判長は、たとえ反対同盟が主張するような違法があったとしても、「空港公団が憲法29条3項違反(正当な補償なき公用収用)を犯したと認めるに足りる証拠は認められない」とNAAを露骨に擁護した。さらに、航空バブル崩壊で破綻に瀕する成田空港の現状を科学的に明らかにした専門家意見を何の根拠も示さずに「独自の見解」と切り捨てた。極めつきが、仮執行宣言を付ける理由について明確に示すことができないことを自己暴露した「仮執行宣言を付す必要がないとする理由は見当たらない」とのデタラメな見解だ。裁判所が率先して危機に立つNAAを救済し、空港の破綻がより一層鮮明になる前に「判決確定を待たずに強制執行してよい」とお墨付きを与えたのだ。絶対に許すことはできない。
今回の判決は岸田政権が急ピッチで進めている改憲・戦争、大軍拡の攻撃と一体である。
国とNAAが空港拡張を進める経済的な合理性すら示せなくなる一方で、反対同盟が56年にわたり「成田軍事空港絶対反対」を貫いてきたことの正義性はますます鮮明だ。さらに、気候変動をきっかけとして全世界で若者を先頭に空港反対の闘いが巻き起こっている。孤立し追い詰められているのは国とNAAの側だ。
われわれは、いついかなる攻撃がかけられようとも、「来るなら来い!」の精神で、全国・全世界の仲間と共に、市東さんの農地を実力で死守し、空港廃港の勝利まで闘いぬく。
2022年9月4日
三里塚芝山連合空港反対同盟