●成田クリーンパーク問題とは何か

――ダイオキシンを埋めたまま一般廃棄物処分場を空港用地に転用しようとする暴挙

これが成田クリーンパークです

■成田市の一般廃棄物処分場(成田クリーンパーク)が成田市十余三という場所にあります。暫定滑走路の北端から約370メートルの至近距離に位置しています。暫定滑走路がさらに320メートル北に延伸されることになった結果、この処分場は滑走路北端からわずか50メートルの場所に接近することになりました。
■ここで問題になったのは、航空保安区域の用地です。空港は滑走路や誘導路だけでできているのではなく、長さ数百メートルもの用地を必要とする進入灯や無線施設などが建設されなければなりません。そのためにクリーンパークの土地が必要となったのです。
■クリーンパークの敷地面積は42000平方メートルですが、そのうち37000平方メートル(84パーセント)が、空港会社からの借地でした。ですから空港会社は、クリーンパークの敷地が空港用地として必要になれば、いつでも返してもらえる、と安易に考えていたのでしょう。
■ところが実際はそう単純ではありません。敷地が借地であろうとなかろうと、いったん処分場としてゴミの埋め立てをはじめてしまえば、その閉鎖―廃止は廃棄物の処理および清掃に関する法律の規定に従わなければなりません。
■その規定では、処分場を閉鎖した後でも最低2年間は監視をつづけなければなりません。そして、廃棄物処理法に定められた浸出水の水質や大気質の基準をクリアーできなければ、2年を超えて何年も廃止はできないことになります。
■クリーンパークの閉鎖に時間がかかったり、閉鎖した後で汚染が確認されれば、北延伸の開業時期としてうたわれている2009年度内に廃止することができません。そのため空港会社にとってはやっかいな問題となっているのです。
■クリーンパークは1989年に埋め立てを開始して、2012年まで営業する予定でした。廃止が問題となった2005年までに16年間も埋め立てています。しかもダイオキシン規制法が制定されたのは1999年7月のことですから、クリーンパークにはダイオキシンが野放しで埋め立てられていることになります。このことは、成田市の環境計画課長も認めました。
■埋め立てて、その上を空港用地にしたら、ダイオキシンの汚染が後に発生しても掘り返せません。仮に空港保安用地にするとしても、ゴミの全量撤去しか環境を守る方法はないのです。
■しかし成田市は空港会社の圧力で、「ゴミの全量撤去は金と時間がかかる」と、全量撤去方針の採用を拒否し、昨年12月覆土(ふくど)での閉鎖を決めてしまいました。クリーンパークはこの3月31日に閉鎖され、間もなく覆土工事が始まろうとしています。
■なぜ成田市は住民の命と健康を第一に守る立場に立たないのでしょうか。北延伸工事のためには住民の健康などおかまいなしだというのでしょうか。
■クリーンパークを閉鎖するなら、成田市は今からでもゴミを全量撤去すべきです。
■また前述したように、閉鎖しても最低2年間つまり2009年春までは廃止することはできません。その間、水質検査などを続けなければなりません。この監視にごまかしがないかどうか、私たちは厳しくチェックしていく必要があります。
■なぜこのような問題が起きたかと言えば、暫定滑走論北側延伸(2005年8月国土交通省決定)というデタラメな計画がゴリ押しされたからです。この問題ひとつを取ってみても暫定滑走路の北延伸工事はただちにやめるべきです。
■クリーンパークの下を流れる地下水の下流域の住民からは当然にも不安の声が上がっています。こうした地域の住民とも共同して、クリーンパークの違法な転用を許さず、北延伸工事の犯罪性を暴いて反対同盟は闘い続けます。

  

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