1、2月の農作業は、草取りに追われることがなく、種のまきつけも主には3月頃からなので、“他の月に比べれば”少しゆとりがあります。
とはいえ、旗開き前からすでにあれやこれや農作業が始まっているのは、鈴木加代子さんのブログでも伝えられている通りです。
萩原さん、市東さんは12日が野菜の初出荷でした。萩原さんでは、その前に車庫のペンキ塗りや家の外回りの片づけをしました。
市東さんの初仕事は落花生の選別です。選別したものは、洗って天日乾燥して、落花生屋さんに持ち込んで煎ってもらいます。まだ一手間も二手間もかけなければなりません。
落花生にはいろいろな別名がありますが、その中のひとつに“あとひき豆”というのがあります。パチンパチンとカラを割りながら食べ始めたら、ついつい止まらなくなってしまうからです。食べるのは本当に一瞬ですが、今日はここに至るまでの農作業の苦労話を皆さんに紹介したいと思います。
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落花生の種まきは5月頃です。これを手ぐすね引いて待っている“奴ら”がいるのです。カラスです。鳥おどしの工夫もカラスにはあまり効果がなく、昨年は市東さんでもかなりの被害がありました。
落花生はその名の通り、開花したあと、花の中から針のような柄が伸びて地面にもぐり、土の中で実が育ちます。昨年は雨が多くて日照不足のため、実の数が少なくて、出来はいまひとつでした。
10月、掘り起こして実のついた方を上にして畑に並べ、乾燥させてから“のう積み”という作業をします。秋の農村風景で(とりわけ千葉ですが)円筒形の黒い固まりが点在するのを見たことはありませんか? あれの正体は、茎と葉のついた落花生です。昔は“のうぼっち”というワラ帽子を上にかぶせましたが、今はビニールで代用しています。こうして寒風の中でさらに乾燥させてから、脱粒機にかけて茎と実を分けるのです。この作業がまた昨年は大変でした。途中ですごい時雨(しぐれ)に見舞われたのです。落花生屋さんから予約で機械を借りていたので、簡単に日延べするわけにもいかず、空模様を気にしつつ強行したのですが、間に合いませんでした。それでもシートをかけて雨の上がるのを待ち、すったもんだのあげく、なんとか1日で作業を終わらせることができて、ホッと胸をなでおろしました。
市東さんの落花生、今年は総量が少ないので消費者の皆さん全員にはまわらなそうですが、こんな農家の苦労もちょっと思い描きながら、味わってもらえたらと思います。
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