森中小三郎・空港会社新社長が敷地内潜入
切り崩し攻撃許すな

――アジアゲートウェイ構想の狙い

森中小三郎・空港会社新社長
■6月27日、成田空港会社の社長に就任した森中小三郎が、前任の黒野匡彦とともに東峰区の5軒を訪れました。萩原さん宅では、進さんが弾劾の言葉を発する暇も与えず、数分で逃げ帰ったといいます。
■森中社長らは、農家にまで出向いて来ながら、最大の争点となっている北延伸計画や、暫定滑走路を3500メートルに延長する構想について、正当性も必要性もなんら説明することができなかったのです。
■現に目の前で東峰の森を破壊し、新誘導路工事の着工を強行する一方、農民の生きる権利と土への思いから来る当然の弾劾を受け止める気概も勇気もまったく持てない輩だということです。
■しかしながら、今回の社長交代の背後にあるものを、決して軽視することはできません。森中新社長は、安倍政権が5月16日に発表した「アジア・ゲートウェイ構想」を実現するために、黒野前社長の再任を阻んで、送り込んだ強権社長です。旧来型の利権構造を破壊し、「羽田(国内線)と成田(国際線)のすみわけ」を転換し、両者を一体的に運用することを方針に中心に据えて、成田空港完成〜拡張に向けてしゃにむに突進しようという体制です。
■したがって、森中社長は地元財界と一体となった暫定滑走路の3500メートル化攻撃に乗り出す構えをすでに見せています。

アジア市場争奪戦の致命的な遅れ

■しかし、これは政府・空港会社の強さではなく弱さの表れです。前述のアジアゲートウェイ構想自体が、アジアをめぐる市場と勢力圏の争奪戦に遅れをとった安倍政権の焦りから出されてきた計画です。最大の問題が、アジアでのハブ空港競争に敗北してきたという現実です。
■中国、韓国、台湾、タイ、シンガポール、マレーシアで巨大空港がつぎつぎと建設されるか、拡張されています。すべてが4000メートル滑走路を2本も3本も持ち、加えて3500メートル級を複数本持つという規模です。
■ですから同構想は10個ある政策目標の一番最初に「オープンスカイ=航空自由化」の政策を位置付け、巨大国際空港の建設をうたっています。首都圏では、羽田と成田の一体的運用です。さらに現在、国土交通省が持っている路線の許認可権を取り上げて、路線の開設は航空会社の自由にすることを唱えています。その点からも「空港容量の拡大」を叫んでいるのです。
■また同構想では、アジア諸国とのFTA(貿易自由協定)、EPA(経済連携協定)を積極的に進めることを唱え、東アジア自由経済圏構想を叫んでいます。この点でも対アジア圏のインフラとして空港―航空問題が死活的としています。
■三里塚空港計画の前の富里空港時代の計画は、4000メートル2本、3600メートル1本、2500メートル2本という巨大な計画でした。富里・八街農民の反乱で、計画を断念、規模を半分にして三里塚に変更されたのが三里塚空港計画でしたが、すでにアジア諸国の国際空港はすべてが”富里”以上レベルの規模なのです。

権力の横暴に負けぬ41年 労農同盟こそ勝利の道

■この点を見ても、三里塚で空港建設をゴリ押しして、41年間も三里塚農民の激しい抵抗にあったことが、政府の空港政策全体の破綻を引き起こして来たことが分かります。アジア市場での争奪戦で致命的な敗勢に陥っている安倍政権が、空港政策の遅れはもはや待てないところに来ている、としてアジア・ゲートウェイ構想を打ち出して来たのです。
■三里塚闘争は41年ものし烈な闘いの末に、自民党の政権そのものを相手にするところまで、闘いの地平を拡大してきたのです。アジア・ゲートウェイ構想と三里塚闘争の関係は、まさにこのようなものなのです。
■国家の中枢そのものとの闘いに入りつつある三里塚闘争には、巨大な財産があります。圧倒的な層と数の労働者との労農同盟です。そして、ついに反乱を開始した農民たちの仲間。さらに全国津々浦々に根を張る学生・市民・住民の支援陣形です。
■このような団結と連帯の陣形によって、安倍政権そのものと対決する時が来ました。これは憲法改悪・戦争攻撃との先端的たたかいです。
■夏から秋への闘いを全国の労農学とともに進撃しよう。

  

カテゴリーにもどる

           
  • 緊迫の現地攻防