●「農民はもうだまっていられない。この世の中変えよう。10・7へ大結集を」

――9・28関西三里塚集会での市東孝雄さんの発言

発言する市東孝雄さん
■関西にお招きいただくのは4回目です。今三里塚では夏野菜が終わり、秋の野菜の収穫に追われています。サトイモ、根菜類ですね。今年は雨が少なくて虫が大発生しています。いつも食べていたただいている正月野菜の品目がどうなるか、心配をしているところです。

■20年間にわたって、有機野菜をつくってきました。私の畑は誘導路を「へ」の字に曲げています。曲げているというより、曲がるのを承知で空港会社のほうが誘導路を造ったというのが正しいので、私のせいでもなんでもありません。
■空港反対闘争41年になりましたが、若い人の力をお借りしてまだまだ闘い抜いて行きたいと思いますし、みなさんの支援で闘い続けていられるんだと実感して、感謝の気持ちで一杯です。
■こうして関西に来たり、先日は群馬にも行ったんですけど、遠いなと感じます。これだけ遠方から三里塚にかけつけていただく労力、お金の大変さを実感して、励まされ、勇気づけられています。
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■三里塚では土地収用法の適用をくり返してきましたが、反対同盟ががんばりぬいた結果、失効してしまいました。もう収用法で畑を取られることはなくなったのだな、と安心していましたところ、今度は私に対して、農地法を使って農地を奪うという攻撃に出てきたわけです。
■私が言うまでもなく、農地法というのは本来、農家を守るための法律です。戦前は7割が小作だったそうですが、戦後の農地解放でそれを自作農にしました。小作農も権利が守られてきました。ところが、去年の7月、空港会社が私の農地の解約を成田市の農業委員会に申請すると、千葉県の農業会議、県知事とわずか3カ月で私の耕作権強奪が許可されたわけです。本当に許せません。
■農業会議での光景が忘れられません。私の案件以外は全部、農地転用の話です。そこで農業をしたいんだという案件はありませんでした。まるで不動産屋か何かのようでした。月に300件、年に直せば3600件。これだけの農地が千葉県だけでつぶされています。本当に農地はなくなっていまいます。
■「耕す者に権利あり」というのが農地法です。仮に地主が農地を売りたいといってもそこで耕作をしている農民の意見をきかなければならない、同意を得なければならない。ところがうちの場合はそういう話が一切なしに進められました。調べて見ると19年も前の1988年に売買されていた。それが、うちにはまったく知らされていなかった。これは誰が見ても農地法違反です。法律に書いてあります。それを「農水大臣令がある場合は例外だ」みたいな逃げ道を勝手に作って、自分たちの解釈で違法を押し通そうとしているのが、私の耕作権取り上げ問題です。
■さらに、今私が提訴されている「不法耕作地」と彼らが称する畑の取り上げ裁判がありますが、冗談じゃありません。ひい爺さんの代から90年も耕作している畑です。「じゃあ、不法耕作と言いがかりをつけている畑の場所を特定してみろ」と追及しても、空港会社側は答えられません。裁判長がまた露骨に会社の肩をもって、彼らを支援する。とんでもないことが進んでいます。
■10月30日には行政訴訟の第1回弁論が始まります。こちら側から反撃する大事な裁判ですのでよろしくお願いします。
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■今、労働者と農民が連帯することが大切だと思います。2月27日の日本農業新聞のコピーを持ってきました。農産物の関税をゼロにすると日本の食料自給率は12パーセントになってしまうという記事です。自動車やカメラを輸出する見返りに安い農産物の輸入を自由化しようという狙いですが、その結果、農家は生活できなくなり、食料が安いのだから給料も安くすると、労働者の生活も破壊する攻撃です。農家も労働者も置かれている状況は一緒です。
■さらに8月24日、農林水産省は「農地制度について耕作者主義を放棄する」方針を発表し、農地法の廃止、小規模農家の切り捨てにむけて政策を転換する旨をはっきりさせました。
■安倍内閣が倒れたのは農民の怒りによるものです。だれだって、これだけやられればやります。では民主党の小沢だったら変わるかといえば、それも不可能です。口先だけだと思います。政府は、農地法もないし、農業もつぶすという方針です。農民はもうだまっていられません。農水大臣が何人変わったでしょうか。「美しい国の腹黒い交代」とでも皮肉ってやりたい気持ちです。
■労働者は低賃金で、若者は食っていけない。農村でも同じことが起きている。若い人の自殺が増えている。この世の中、本当に変えなきゃいけないと思います。
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■10・7に現地で全国集会を開きますので大結集をお願いします。農業問題や私の農地問題さらに暫定滑走路の北延伸阻止を柱にした集会です。田んぼを30町部もやっている農家の人の発言など、今までと違った幅広い層の人びとの参加と意見表明もあります。空港問題だけじゃなく幅広い陣形でお互いに連帯していきたいと思います。
■くり返しますが、10月30日には私の農地取り上げについて違憲を真っ向から問う行政訴訟が始まります。弁護士の先生方も力が入っているので心強く思っています。農地を守る闘いに勝利するにはみなさんの力を借りるしかありません。
■「市東さんの農地取り上げに反対する会」から会報の第1号が出まして、今日たくさんもってきました。1人でも多くの仲間をこの秋三里塚現地に集めて下さい。貴重なお時間ありがとうございました。

  

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