●暫定滑走路は国家犯罪だ

――認可処分取消訴訟の判決裁判に集まろう

■2000年2月に反対同盟が国土交通大臣を相手どって提訴した暫定滑走路認可処分取消訴訟の判決言い渡しが明日、10月19日午後1時30分から、千葉地裁で行われます。暫定滑走路の違法性を法廷の場で明らかにしていく重大な裁判です。ぜひとも傍聴闘争に集まって下さい。

■この裁判は運輸大臣・二階俊博(当時)が1999年12月17日、空港会社から提出されていた成田空港の工事実施計画変更申請を認可した処分に対して、反対同盟が2000年2月16日に取り消しを求めて起こした裁判です。この処分は、空港建設計画そのものを変更して、暫定滑走路の建設を行う計画に変えることを認めたものです。つまり、今や国家犯罪の固まりとも言うべき暫定滑走路の建設を認めた重大な処分なのです。

■暫定滑走路裁判をめぐる経過

1999年 9月3日 新東京国際空港公団(当時)が暫定滑走路建設計画(工事実施計画の変更)の認可を求めて当時の運輸省に申請
1999年12月1日 運輸省が暫定滑走路建設計画を認可
1999年12月3日 暫定滑走路建設工事を着工
2000年2月16日 暫定滑走路建設認可の取消を求めて運輸省(現国交省)を提訴(市東孝雄ほか9名)
2002年4月18日 暫定滑走路の供用開始

■何より問題なのは、暫定滑走路の供用によって民家上空40メートルにジェット機を飛行させ110デシベルをこえる大騒音を撒き散らして、住民を生命の危険と恐怖、生活破壊・営農破壊に叩き込むという国家犯罪を現に連日強行していることです。
■その実態について、弁論及び証拠調べ・証人調べの中で全面的に明らかにしてきました。成田国際空港会社の黒野前社長自身、供用後2年間の騒音測定結果で平均96デシベル、最大で110デシベルを超えていることを認めています。堂本千葉県知事が「ここは人が住める所ではない」と言ったように、これはもはや、騒音の域を超えた爆音そのものなのです。
■この頭上40メートル飛行や市東さん宅へのジェットブラスト(ジェット機の噴射)は「他人の利益を著しく侵害してはならない」という航空法39条に明らかに違反しています。
■また暫定滑走路は、飛行場に関する航行の安全を定めた国際民間航空条約、シカゴ条約に違反し、航空法に違反しています。問題点はいくつもありますが、最大の問題は滑走路の着陸帯の幅が、国際標準では300メートル(滑走路の中心線から両側に各々150メートル)必要なのに、暫定滑走路ではその半分の幅しかないこと。滑走路からの逸脱に備えて着陸帯の整地部分は、最大幅で210メートル、最小幅でも150メートル必要であるのに、暫定滑走路の着陸帯の整地部分の幅が60メートルも狭いことです。

国交省の居直りは許されない

■実際に航空機事故が発生しています。2002年12月1日には航空機同士の接触事故。2003年1月27日のオーバーラン事故や2004年6月16日の鉢合わせ事故などが着陸帯及び誘導路上で起きています。これらの事故は暫定滑走路の構造的欠陥によるものであり、住民や乗客を日常的に大惨事の危険に叩き込んでいます。
■暫定滑走路の認可が違法極まりないことは、黒野前社長自身も東峰地区住民に対する謝罪文の中で明らかにしています。「暫定滑走路計画時に、皆様が日々生活を営んでおられるまさにその真上数十メートルに航空機を飛ばすことが、皆様にどのような被害をもたらすかについて深く検討もせず看過してしまったというのが正直なところであり、航空行政に携わるものとして全く恥ずべきことであると大変申し訳なく思っております。…今後皆様の生活環境や人間としての尊厳を損なうようなことは二度とやってはいけないとの強い決意でおります。」(2005年)
■しかしながら被告・国交省は裁判の中で居直り続けました。暫定滑走路の供用によって、東峰地区住民に生命の危険と恐怖及び生活破壊・営農破壊を日常的に及ぼしている現実があるのに、「被害はない、違法ではない」と強弁してきたのです。
■重大な違法による暫定滑走路建設の認可は即刻取り消すべきです。日常的に国家的犯罪を繰り返している暫定滑走路を認可した政府・国交省の責任は重大です。千葉地裁はきちんとこの国家犯罪を裁くべきです。不当な判決を許さないように、法廷と裁判所を包囲する闘いが必要です。皆さん、明日千葉地裁に集まりましょう。

  

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