●鈴木幸司さん宅での暗きょ排水作業に参加して(3)=投稿


下準備
 場所が決まれば、あとはひたすら掘るだけだ。吸水管を購入し機械を手配する。透水・ろ過材であるスクモ(籾殻)は、八日市場の小川さんから提供していただいた。同じく透水材のしの竹は、白枡の畑から調達した。

 材料がそろえば、天候だけが問題だ。晴れが続く時を狙って、試掘りをやる。一鍬掘ると、湿田特有の悪臭が鼻を突く。地表からわずか10センチでグライ層があった。「グライ」とは、ロシア語で「ぬかるみ」という意味だ。グライ層には酸素がなく、嫌気性の微生物しか住んでいない。この微生物は、鉄を酸化状態(赤褐色)から還元状態にする。だから、土の色は青い灰色をしているのだ。そして、とてもくさい。酸欠状態の土では、稲の根が成長しない。これでは、コメの作柄が良くないわけだ。対策は、「効率のよい暗渠排水による土壌改良」のみ。セキレイが、えさを探して掘り起こした土の上を歩いている。
 水路を掘り始めて2日目、雨が降り作業中止。掘った水路には水が流れ込む。工事の遅延は避けたいが、天候には勝てない。翌日からは、どろどろになった水田を掘り進む。パワーシャベルが泥に埋まる。機械の振動で液状化現象が起きたのだ。工事は一時中断。明日の本工事は大丈夫だろうか?(つづく)

  

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