●千葉県は求釈明に答えよ

――一坪共有地強奪の違法性明らかに


裁判報告会であいさつする鈴木幸司さん、いとさん
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■8月28日午前10時30分から、鈴木さんの一坪裁判第7回口頭弁論が行われ、鈴木さん、弁護団それに反対同盟をはじめ傍聴に駆けつけた人々が一体となって裁判闘争を闘いました。

■今回の裁判では、鈴木さんの一坪共有地を奪い取るために、「全面的価格賠償方式」なる最高裁の1判例にすぎないものを、あたかも「法令」であるかのように適用していることの間違いを徹底的に明らかにしました。最高裁の判決そのものが間違いであるだけでなく、その判例のケースとこの裁判は全く別次元の話で、一坪共有地強奪のため以外の何ものでもありません。
■さらに弁護団は残りの一坪共有地について誰がいつどのような形で取得したのか明らかにせよと再三迫りました。売買が問題なっている裁判ですから、誰がいつどのような価格で買ったのか、これは重要な要件です。それなのに千葉県側が提出した資料は売買価格の部分が何と墨塗りされているのです。「いくらで買ったかは言わないけど、売買した」なんていう主張は、通用するわけがありません。
■この当然の釈明要求に対して、千葉県側は「釈明の必要はない」と逃げ回りました。ここで仲戸川裁判長は「検討して答えるかどうか考えて下さい」などという曖昧な態度で千葉県側を助ける訴訟指揮をしようとしたのです。法定内の怒りは爆発し、仲戸川裁判長への弾劾がたたきつけられました。一坪共有地強奪は絶対に許さないという熱気の中、裁判闘争は闘い抜かれました。
■裁判終了後の報告会では弁護団の内容説明に続いて、鈴木幸司さん、いとさんの闘う決意が明らかにされました。鈴木幸司さんは「これからの闘いの中で、この弁護団がいることは大きい。これから闘いは市東さんが農地を死守する、その気持ちなって、我々一人一人が同じような気持ちなってやらなければならない。そういう重要な段階に入っています。これからもよろしくお願いします」と力強く発言。鈴木いとさんも「一坪共有地を死守して最後の最後まで頑張ります」と決意表明しました。
■最後に北原事務局長が「弁論は空港会社側を追い詰めてる。このような違法な空港は絶対に廃港に追い込む。43年間の我々の闘いの勝利を目指して闘っていこう」としめくくりました。
■次回の弁論は10月23日(木)10時30分からです。今日を皮切りに5つの三里塚裁判が集中的に闘われ、激突の大決戦になります。現地攻防と一体のものとして、裁判闘争、傍聴闘争に連続で取り組んでいただくことを訴えます。よろしくお願いします。

(今回の裁判に向けて裁判事務局から出された「裁判傍聴のために」(PDFファイル)も合わせてご覧下さい)

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<<弁護団の解説・発言から>>

葉山岳夫弁護士
 傍聴闘争を、弁護団それからもちろん鈴木幸司さん、いとさん一体となった闘争として展開していきましょう。
 最高裁の判決を盾にとって、全面的価格賠償方式でやるんだと言ってるんですが、その事例たるや、一つの建物を分割することができない、それをどうするかという、そういう事例なんです。本件のような事例とは全く違う。地上げのための地上げだということについて主張した。
 それから千葉県側が出した証拠を見ると、価格の点だけ墨塗りしちゃってあるんですよ。売買が問題なっている訴訟について、誰がいつどのような価格で買ったのか、これが要件なんです。「いくらで買ったかを言わないけど、売買した」なんていう主張は世の中一般通るわけがないですよ。所有権を取得したと言うんだから、どういう格好で取得したかを言わなければいけない。これについて釈明を迫ったということです。

遠藤憲一弁護士
 千葉県は、鈴木さんご夫妻に対して、一人44290円払うから一坪共有地をよこせという裁判をやってるわけです。
 この裁判の構造ですが、まず県が所有者として、一坪共有地について、云々する権利は無いということです。一坪共有地なんで組合有ですから、処分なんかできないんです。県なんか取得できないですよ。ここはこの裁判の大きく言うと5分の4くらい重要なところで、これから我々は一坪共有地の形成過程を大昔にさかのぼって立証していくということであります。
 で、残りのところが、金払うからよこせという部分で、これは最高裁がそういうものを認めてしまった。民法ではそういうのは認められていないわけですよ。判例で勝手にそういうのを認めた。なぜかというと、世の中の個人の紛争ではそうしないと解決できないケースがあるからなんですよ。
 ひとつの家があって、相続人が何人かいる。一人の人はそこに住んでいて、どうしても家が必要。他の人ははそこにいないから、じゃあお金でケリをつけようと。
 そういうことでできたのであって、こんなケースと全然違うんですよ、一方は国策会社で、こちらは反対運動をやってるんですよ。権力対闘う人民の構造なんです。
 県は航空会社まがいの主張を言っているわけですよね、関係ないでしょう。県で使う用地じゃなくて、将来売るんだって言ってるんだから、住む家のためにどうしてもという話で出てきた判例が、人に売ろうという話にまで何で適用されるんだと言いたいんです。

一瀬敬一郎弁護士
 この一坪共有地の闘いは成田空港建設という違法・不当・違憲な国策事業に反対するということで闘っている。古くはご存知のように、足尾銅山の鉱毒事件の谷中村、あそこでもそういう一坪運動みたいなものがあった。多くの人が土地の名義人になって、時の権力者側の買収、切り崩しに抵抗すると、そういうふうに闘ってきた。日本のなかで、そういうことがずっとやられてきたわけです。
 今回の全面的価格賠償というようなやり方で、そういう運動自体をつぶそうとしている。それは憲法的にも法律的にも全く違憲違法なものだということを、弁護団としては全面的に明らかにしてがんばっていきたいと思います。

浅野史生弁護士
 仲戸川裁判長はパッパと裁判を終わらせようとしている。まさにこれから秋の闘いの本番が始まろうとしています。共に頑張っていきましょう。


  

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