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市東さんと弁護団が堂々の更新意見陳述

  • Posted by: doumei
  • 2010年9月10日 23:16

p100910.jpgNAAの農地取り上げを全面批判
―行政訴訟・農地法裁判(9月10日)
(写真は裁判終了後の報告会)

 9月10日、市東さんの農地裁判のうち、行政訴訟と農地法裁判が千葉地裁601号法廷でおこなわれました。
 この日の裁判では、裁判長が多見谷寿郎(としお)裁判長に交代することに伴う、更新意見陳述がおこなわれました。
 まず、市東孝雄さんが市道廃止と不当逮捕への怒りを込めながら、空港建設そのものの問題性から直近の第3誘導路建設のデタラメさまで、積もり積もった思いをはき出すように、空港会社を批判して、千葉県を追及する陳述をおこないました。 これに続いて、弁護団全員がそれぞれテーマを分担して、NAAによる農地取り上げを手続きの問題から違憲性にいたるまで全面的かつ詳細に陳述。新しい裁判長のもとで、NAAを徹底的に追いつめました。
 核心的な問題は、市東さんが一度も耕したことのない「41-9」番地を市東さんの賃借地だとしたこと。この説明がつかなければ、NAA側の主張は全て合理性が失われることになるからです。
 これまでNAA側は一貫してこの問題をすり抜けようとしてきましたが、このかんの市東さんと弁護団の追及によって、代わったばかりの多見谷裁判長が「空港会社に41-9の契約占有関係が認められるのかどうか、それが認められないと却下になる」と言及せざるを得ないところに持ちこんだのです。
 逃げ場を失ったNAAと、責任逃れに終始する千葉県を許さない傍聴闘争を続けていきましょう。
 裁判の日程は、次回が11月26日(金)、次々回が翌年の2月22日(火)というところまで決まりました。

 市東さんの意見陳述を紹介します。



 

陳 述 書

2010年9月10日
 

千葉地裁民事第3部 御中

成田市天神峰63番地
市東 孝雄


 5月に予定された裁判が、私に対する不当な勾留で延期になり、今日になってしまったことは誠に遺憾です。こうした事態をもたらした市道廃止と不当逮捕に強く抗議したいと思います。
今回の事件とこの農地の取り上げ裁判は、まったく一つのことだと思っています。
 そもそもの原因は、農家の声をふみにじった力の政治であり、場当たり的な空港建設です。機動隊を含めると死者7人、逮捕・投獄のべ3300人、負傷者のべ6500人。国の暴力に対して、身体ひとつの農民・労働者・学生が、必死に抵抗したのが三里塚の歴史でした。
この力による空港建設を、政府は謝罪しました。空港会社の黒野前社長は「人としての尊厳を損なうようなことは二度とやらない」とわび状を書きました。
 ところがその直後には、東峰地区の民家にぶつかるように低空を飛ぶ暫定滑走路を建設し、「効率が悪い」からと言って誘導路を2本にしました。東峰の民家は空港の中に取り込まれ、爆音と墜落の恐怖のなかで生活しています。
そしてついに、私の家のすぐ横に3本目の連絡誘導路を造る計画を持ち出しました。私の家は騒音をふりまく2つの誘導路で囲まれます。
 江戸時代の図面にも残る里道で、今も一日150台の車が通り、私の農作業にとっても無くてはならない市道を廃止する暴挙も、この場当たり的な空港づくりがもたらしました。これに強く抗議したら、すぐに逮捕。空港会社が告訴して、23日間も勾留されたあげく、不起訴で釈放。こんなひどい話はないと思う。

 欠陥だらけの暫定滑走路は造るべきではなかったのです。
今日の農地取り上げ裁判は、暫定滑走路の「へ」の字誘導路を真っすぐにするために、畑を強引に取り上げようとする裁判です。
 「へ」の字に曲がるから造るべきでないものを、「安全性に問題ない」と言って強引に建設しました。使い始めたら「効率が悪い」「畑が曲げているのだから裁判で取り上げろ」というのです。
 信号機で通行規制しなければ使えないのだから効率が悪く危険なことは始めから分かっていました。自分でつくった不具合ですが、その不具合を口実に、今度は農地を取り上げる。どうして納得できますか。
 ところで、今、空港会社は一坪共有地を取り上げて、「へ」の字のカーブを緩和する工事を進めています。でもそれで広がる滑走路と誘導路の間の距離は、わずか13メートル。国際的な安全基準からすると62.5メートルも足りません。ところが空港会社は、「信号機をはずして効率がよくなる」と宣伝しています。これでは尼崎の鉄道事故や、成田でおきた貨物機の激突・炎上事故の二の舞です。
 羽田を「ハブ(基幹)空港」にするという国の政策に、空港会社はあわてて「年間30万回離着陸」を打ちだしました。3本目の誘導路や、「へ」の字の緩和などの無謀な工事はこのためです。人の命を考えない空港会社に、怒りがこみ上げます。

 この裁判の詳細については、弁護団に陳述してもらいます。
 その上で、私は行政訴訟で千葉県の責任を追及したいと思います。私は畑に対する数々の農地法違反や、位置の誤りについて、調査を申し立てましたが、結局、何もしないで無視されました。
そうして出された無責任な許可決定を錦の御旗に、空港会社は裁判を起こしました。そして一帯をコンクリートで埋める動きにつながって、市道の閉鎖と不当逮捕をもたらしたと思っています。
 民事裁判については、父・東市と私に対する空港会社のデタラメを、徹底的に追及する裁判として闘うことを申し上げておきたいと思います。これは、場当たり的な拡張工事との闘いでもあります。

最後に、新しく担当される多見谷裁判長に対して、私は訴えたい。
農地は私たちの命です。「耕す者に権利あり」です。農家はそうしてこそ守られると思う。
農は公共そのものなのです。「政治とカネ」「ゼネコン」「ワイロ」の公共事業で、環境が破壊され、農地がどんどんつぶされました。その結果が、今の社会のゆきづまりではないでしょうか。農地を守り、畑をつくり続けることは、これにまさる公共だと信じています。
まして農民の権利を掲げて国と闘い続ける三里塚のなんたるかをしっかりと見て欲しい。空港が戦争に使われることにも反対する私の気持ちは、沖縄とひとつだということも申し上げておきたいと思います。
国や会社のいいなりになる裁判は公平とは言えません。強権から人々を守ることこそ裁判所の役割であると信じるものです。

 以上で陳述とします。
 

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