弁護団声明

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請求異議裁判の不当判決に対する顧問弁護団の声明を掲載します。

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三里塚芝山連合空港反対同盟顧問弁護団声明(2018年12月20日)

1 本日、千葉地方裁判所民事第5部高瀬順久裁判長は、成田市天神峰字天神峰と字南台にある市東孝雄さんの農地及び農作業場・農機具置場等に対する強制執行を認める判決を出した。この高瀬判決は市東孝雄さんの命を奪うに等しい、全く不当な反動判決である。強く弾劾する。

2 市東さんは強制執行の対象となっている本件農地で完全無農薬有機農業で農作物を生産し消費者に直接販売する産直事業を営んでいる。
 本件農地は市東さんの全耕作地の約半分を占め市東さんの生活の基盤そのものである。空港会社が本件農地に強制執行を行えば、市東さんは営農の手段のほとんどを奪われる結果となり、廃業を余儀なくされる。 本件農地は、憲法上の「営農権」で保障された「生存権的財産権」であり、これに強制執行を行うことは憲法違反であり絶対に許されない。

3 今回の高瀬判決は1971年9月20日の第二次行政代執行で小泉よねさんに加えた残虐きわまる強制的代執行の再現を容認するものだ。
小泉よねさんへの代執行は、よねさんの生存のための最低の基盤をすべて奪い尽くした。そのためよねさんは病におかされ2年半後に亡くなった。代執行がよねの命を奪ったのである。生活の基盤を奪う強制代執行が人間の命を奪うに等しい残酷な暴挙であることが明らかになった。
 だから国と空港会社は、小泉よねさんに対する強制代執行を何度も謝罪し、三里塚の地では二度と繰り返さないと約束したのである。
4 1994年10月三里塚円卓会議での隅谷三喜男調査団長による最終所見、すなわち、平行滑走路の用地取得に関しては、あらゆる意味において強制的手段が用いられてはならないとの提言に対して国側運輸大臣、運輸事務次官、空港公団山本総裁が隅谷団長所見を受け入れることを公的に誓約した。また、2001年2月5日の最高裁での小泉英政氏との和解に際しては、空港公団は、「この地で二度と『小泉よねさん問題』のような不幸な出来事を繰り返してはならないと決意する次第です。」(「小泉英政氏との和解について(総裁談話)」)とも述べたことが想起されなければならない。
 高瀬判決が強制的手段を使わないという国・空港会社の公的約束を無視したことを強く弾劾する。

5 本日の高瀬判決は、市東孝雄さんの命を奪うに等しい残虐な農地強奪行為であり、同時に、三里塚空港反対闘争、沖縄辺野古新基地建設に反対する沖縄県民、原発被曝を受け続ける福島県民に対する敵対行為であり、安倍政権の改憲策動と軌を一にするものである。
空港会社による市東孝雄さんに対する強制執行を直ちに止めさせなくてはならない。農民殺しを止めさせなくてはならない。
 弁護団は、市東さん、反対同盟、これと連帯する全国の労働者、学生、市民の皆さんと連帯して、断固控訴審を闘うとともに、強制執行停止決定を闘いとり、三里塚現地の闘いとかたく連帯して徹底的に闘い、勝利するまで闘い抜く決意を表明する。(了)

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