緊急抗議声明
三里塚芝山連合空港反対同盟
1.
空港会社による耕作権解除申請につき、堂本知事は千葉県農業会議に諮問を強行し、農業会議は本日その農地転用を許可決定した。耕作者本人ならびに代理人弁護士によるたび重なる調査要請を無視した拙速審議を、反対同盟は満身の怒りをこめて弾劾する。とりわけ千葉県農地課の報告は、空港会社の説明を鵜呑みにした一方的なものであり、とうてい認められるものではない。
2.
18年前、空港公団(会社)は耕作者の市東さんの同意を得ることなく、旧地主から農地を買収した。この事実を隠すために、実に15年間も旧地主が地代を取り続けてきた。あげくに突然空港会社が「地主」として現れ賃貸借契約の解除(土地とりあげ)を要求し、手続きを開始したのである。農地法と農業委制度のもとで、このようなことは許されない。
農地課はこれらの経過に違法性はないと強弁したばかりか、成田市農業委員会による「地主・小作双方の了解を得て合意解約すべき」旨の異例といわれる意見書についても、「合意のために重ねて面談した」などという空港会社の虚偽説明をもって報告とした。
農業会議は虚偽の事実を含むこれらの違法について審議せず、耕作地特定の錯誤についても調査せず、審議開始からわずか21分で許可を決定したことはまったく不当である。
3.
そもそもこの農地は、市東孝雄さんの祖父が御料牧場を開墾し、90年にわたって耕作を続け有機・完全無農薬の畑に育て上げたものである。農民と農用地の保護を職務とするはずの千葉県農業会議が、上記の違法を不問に付し、誠実に農業を続ける者から農地をとり上げる申請に手を貸すとは言語道断である。
4.
しかも、本件農地を含む空港用地は、土地収用法の適用を受けたが、その権限は失効し、政府は収用手続きの一切を取り下げた。これは過去の空港建設の非を認め「今後いかなる状況においても強制的手段はとらない」との政府公約(1991年5月)に基づくものである。
収用できなくなった農地を、数々の違法手続きの上に農地法を悪用して取り上げようとするところに解除申請の真の目的がある。
5.
今日の決定を経て、堂本知事の判断が問われることになった。その責任は重大である。国家事業だからと言って、知事の許可決定で違法がまかり通るならこの社会は成り立たない。法と良心に基づき、事態を精査(耕作者本人ならびに代理人からの事情聴取と耕作地の実地調査)し、却下ないし不許可とすることを、あらためて強く要求する。2006年9月14日