●暫定滑走路の国家犯罪を批判
 ――二期工事差し止め訴訟で萩原さん証言(10/24)

「強制的手段を放棄」した国の確約はどうなったか?

 10月24日、2期工事差し止め裁判(※注)の控訴審第5回弁論が東京高裁で行われ、反対同盟の萩原進事務局次長への証人尋問がありました。萩原さんの証言は葉山岳夫弁護士の質問に答える形で行われました。以下は萩原さんの証言要旨です。
       *       *
■土地収用法に基づく事業認定が失効したため、運輸省(当時)が1993年6月16日に強制収用の申請を取り下げた。それ以降は国家による強権的土地収用が不可能になった経緯がある。それゆえ2期工事は破たんし数多くの未買収地が残った。ところが1999年5月に突然「暫定滑走路計画」が発表され、工事が強行された。
■かつて空港公団は「軒先まで工事を進めて理解していただく」と公言した。暴力団の地上げ屋よろしく物理的な圧力で屈服を迫るやり方だ。東峰神社の立ち木も違法を承知で伐採を強行した。後の裁判で東峰区住民側が勝訴したが、公団は確信犯だったということだ。これが国策事業の現実であり、厳しく指弾されなければならない。

■暫定滑走路の開港によって、民家の頭上40メートルにジェット機が飛んでいる。限度を超えた大騒音やジェットブラスト(排気ガス)が住民の生活や営農環境を破壊している。懸念されていた飛行機の接触事故やオーバーラン事故も発生した。住民は危険と隣り合わせだ。畑に行く道も分断され、遠回りを強いられている。
■NAA黒野社長は、東峰地区に対して「2度と強制的な手段は取らない」とか「東峰地区住民との同意なくして工事の計画は進めない」などと何度も謝罪し確約した。暫定開港も北延伸の決定も、それらの約束を簡単に反故にして進められている。こうした横暴が行政権力を背景に押しつけられていることは大いに問題だ。
■市東孝雄さんに対する農地法を使った耕作地取り上げ攻撃も二期工事の一環だが、怒りを込めて弾劾する。市東さんは「金がすべてであるかのような今回のやり方は許せない」と、闘う立場を表明している。農地収用は絶対に許さない。政府の農業・農民つぶしに対しては、農民の誇りにかけて闘いぬく決意だ。
■成田空港は国策として「金さえ出せばいい」というやり方で強引に進められてきた。どんなに金を積まれても闘い続ける理由は何か? 大騒音の中でなぜ歯をくいしばって闘い続けているのか? 24時間権力に監視されるような脅しを乗り越えて闘い続ける理由は何か? これらの問題を、政府やNAAはまいまだに理解できていない。
■結論として、暫定滑走路(Bラン)の使用は直ちに止めるべきだ。再三の確約を破って住民の合意なしに開港し、「頭上40メートル飛行」など地元農家の生きる権利を脅かし続ける存在自体が違法だ。ましてや現在進められている「北延伸」工事は恥ずべき犯罪の上塗りであり、即刻工事を中止し、計画を断念すべきである。

  

カテゴリーにもどる

           
  • News