●市東さん耕作権裁判 2・19に初弁論!

――3・25三里塚全国集会の成功へ特段の取り組みをお願いします

三里塚芝山連合空港反対同盟 事務局長・北原鉱治

北原事務局長
 市東孝雄さんの農地取り上げ攻撃との闘いは、空港会社(NAA)が提訴した民事の明け渡し裁判で2月19日に初弁論(千葉地裁・午前11時)が開かれ、本格的な闘いの局面に入ります。三里塚40年の闘いのすべてを決する闘いが始まったことを、反対同盟は重大な決意で受け止めています。全国の仲間の皆さんの限りないご支援を改めて訴えるものです。

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●むきだしの“三里塚つぶし”が始まった
 市東孝雄さんの農地を「農地法で取り上げる」とした昨年9月の知事決定に対する行政不服審査請求(10・17)について、農水大臣・松岡利勝は1月29日、わずか3カ月のスピード審理で「請求棄却」の裁決を下しました。耕作者の権利を守るための法律である農地法をひっくり返した決定です。「法のねじまげ」どころではない。まるでクーデターのような暴挙です。
 現在の農地法は、耕作者の同意なしに農地の権利は売買できないと明記しています。農地法で農地を取り上げることなどあり得ないことなのです。戦前の地主制度が農村を貧困のどん底においやり、軍部の台頭やファシズムをもたらした反省から、戦後の農地法が生まれました。「耕す者にこそ権利がある」――これが戦後の食糧難を救い、民主主義の土台を作りました。だから市東さんの農地は、お祖父さんの代から小作地も自作地もしっかりと守られてきました。空港問題が持ち上がって小作地の地主が条件賛成派となっても、40年間、政府はこれに手を付けることは出来なかったのです。
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●わずか6カ月で「決定」、むき出しの暴力
 しかも市東さんの農地は、「伝家の宝刀」土地収用法を使っても40年の長きにわたって奪い取ることが出来なかった農地です。その土地収用法の効力(強制収用を許可する事業認定)も、1989年12月で失効してしまいました。以後現在まで17年、空港公団(現NAA)は、お金による買収以外に用地を取得するすべを失ってきたことは周知の通りです。
 今回、国交省・空港会社と農水大臣は、その市東さんの農地を、昨年7月の「申請」からわずか6カ月で、まともな審理も調査もなく、ただ一片の紙切れを持って、収用決定に持ち込んだのです。40年間なにをやっても取れなかった農地をわずか6カ月で…。まったく信じられない出来事です。農水大臣は、この決定で法的根拠を示すこともできなかった。そんなものはないからです。あるのは、むき出しになった国の暴力だけです。
 40年もの長きにわたって反戦・反権力の砦となってきた三里塚をつぶすということなのでしょう。何のためにか? ふたたび侵略戦争を始めるため。改憲のためです。彼らのねらいはこれ以外にありません。
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●成田空港を米軍が使うことが決まった(!!)
 案の定、驚くような事実が明らかになりました。「朝鮮有事のための日米共同作戦計画」を具体化する作業が昨年から始まり、成田空港や関西空港を米軍が使うことが明らかになったのです。報道によれば、何とこの春にも米軍が成田空港を調査しにくるといいます(1・5読売)。これも新聞報道ですが、米軍は日米安保のガイドライン締結後、定期的に民間空港を下見していて、「兵舎に転用できる建物や防空ミサイルを設置する場所まで調べている」(96年4・20日経)のです。成田を朝鮮戦争の基地にする。そのために三里塚の反対闘争をつぶす。それが政府の意図なのでしょう。反対同盟が40年間訴え続けてきた問題が、いままさに現実になろうとしている。昨年から始まった市東孝雄さんへの理不尽な農地取り上げの背景で、成田空港の軍事基地化がついに現実となっているのです。
 市東さんの農地取り上げを許さず、三里塚の砦を守り抜く闘いは、侵略戦争を阻止し、憲法改悪を阻止する闘いそのものとなりました。このことを全国の皆さんに改めて訴えたいと思います。
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●勝利の道はどこにあるか?
 農水大臣が国の名において「農地収用」の決定を出してしまったのですから、これを葬り去る闘いは容易ではありません。国の決定という重圧を一身に受け止めて頑張っている市東さんの心中を思うと、私自身もいいようのない苦しさを感じます。
 しかし国の決定を労働者と農民、学生の団結の力で覆してきたのが三里塚闘争の40年です。私たちは全国の仲間と力を合わせて本気で闘いぬくならば、必ずや勝利の道は開けると確信しています。
 敵には大きな弱点があります。市東さんに対する農地取り上げの1・29農水相決定も、東峰地区の農家上空40メートルに毎日ジェット機を飛ばしている現実も、すべて国の犯罪、国家犯罪です。政府は40年にわたる三里塚農民、労働者・学生との闘いに敗れた結果、土地収用法という武器を失い、法を自ら犯す以外に空港を造れなくなってしまった。彼らは自分たちの犯罪行為を世間から切り離し、闇から闇に葬り去る以外に勝ち目はないのです。そんなことは絶対にさせない。それが私たち反対同盟の強い決意です。
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 全国の仲間の皆さん! 反対同盟はきたる3月25日に三里塚現地で全国集会を開催します。暫定滑走路「北延伸」阻止! 三里塚の大地にふたたび万余の労働者・農民・学生の隊列を結集するために、ありとあらゆる取り組みを始めて欲しい。若い皆さんも歴戦の闘士も、老若男女、力を合わせて大勢の仲間を三里塚に結集しよう! 市東さんの農地も、三里塚闘争の命運も、そして9条改憲を阻止し、戦争を阻止する闘いの行方も、すべてはここにかかっていると思います。一度でも三里塚に来たことのある人は、どうかもう一度この三里塚の大地を踏みしめて欲しい。非常事態であることをご理解いただき、特段のご協力を心から訴えるものです。3・25三里塚現地で、多くの皆さんとお会いできることを心待ちにしています。
 
 2007年2月17日

  

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