●現闘本部の地上権は明白だ

――第15回口頭弁論で弁護団が熱弁

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現闘本部裁判を支援する会例会で、法廷の議論を報告する葉山弁護士

■2月22日(木)「天神峰現闘本部裁判」第15回口頭弁論が千葉地裁405号法廷(仲戸川裁判長)で開かれました。傍聴は36席をめぐって抽選がおこなわれました。裁判長が代わってから、5回目を迎える仲戸川裁判長は、まもなく裁判開始から3年経つことにふまえ、早期結審を策動しています。
■裁判は、地上権をめぐって本格的な立証過程に入る入り口に立っています。 今回の裁判の争点は地上権(賃借権)です。冒頭、弁護団の方から、石橋政次が倅である武司に与えた代理権授受と、地上権ないし賃借権の取得時効について弁論しました。

■まず第一に石橋政次に意志伝達能力あったという事実。1966年に木造建物を建設してから反対同盟は土地提供者の石橋政次(当時反対同盟副委員長)との間で無償の地上権を設定しました。その後、石橋政次の条件移転にともない、1988年に有償(年5万円の地代)の地上権に契約を変更。反対同盟との間でこの契約変更を行なったのは石橋武司です。空港会社は「政次は当時脳梗塞で倒れ、意志能力がなかった」として、武司は政次の意志を代理することができなかったと主張していますが、これはでたらめです。このころ石橋を見舞った加瀬勉氏(香取郡多古町在住)の証言でも、当時の政次には意志を伝える能力が十分あったことがわかっています。以上のことを詳細に弁論しました。
■第二に、時効取得ということからも反対同盟には地上権ないし賃借権が存在するというものです。地上権の時効取得について、空港会社は「特に強固な権利を意図したという特段の事情もうかがえない」などと否定していますが、地上権の時効取得というのは、継続的に使っているという事実と地上権を行使する意志に基づき使用していることがわかれば良いことが判例で明らかです。本部建物とこのための土地利用そのものが、空港建設反対の強固な意志に基づくものであることははっきりしており、地上権の時効取得は明白です。賃借権の時効取得については、空港会社は「地代の支払いがなされていない」と主張していますが、これは白を黒と言いくるめる暴論です。地代は支払われ領収書も存在しています。以上のことを詳細に弁論しました。
■次に、弁護団の方から、本部建物の実地検証を強く要請しました。これまで仲戸川裁判長は、「検証不要ということもある」とあいまいな発言を繰り返してきました。葉山弁護士と一瀬弁護士が、「空港会社が、『登記された木造建物が1988年増築時に解体され鉄骨造り建物に吸収された』という主張を撤回しない限り、絶対に検証が必要。これから人証の申し立てを行ないますが、人証の前に検証が必要です」と時間をとって熱弁をふるいました。
■続いて人証の申し立てを行ないました。
 空港会社側は、石橋武司の妻の石橋恵美子と当時空港公団の職員の郡の二人を弱々しく申請。対して反対同盟弁護団は、石橋恵美子を含む7名(北原鉱治事務局長、萩原進事務局次長、多古町の加瀬勉氏ほか本部建設に従事した人)を申請しました。仲戸川裁判長は、「7人で12時間も申請しているが、証言は関係あるところだけにして、背景は文書(陳述書)で出すようにしてください」などと、早期結審策動が見え隠れしています。弁護団は、「12時間で40年を語るわけで、短いくらいだ」と真っ向から反論しました。
■次回進行協議(非公開で、裁判長と代理人が行なう協議)が、3月23日(金)、次回公判(第16回口頭弁論)は、5月10日(木)10時30分から、千葉地裁405号法廷となりました。
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■裁判終了後、弁護士会館5階会議室で記者会見が行なわれ、その後「現闘本部裁判を支援する会」の例会が約60名の参加で行なわれました。
■事務局の伊藤信晴さんの司会で、冒頭北原鉱治支援する会代表が挨拶。「裁判長は追いつめられ、拙速判決を狙っています。現場を見ないで判決を出すなど許せないことだ。19日には市東さんの耕作権裁判があった。今、こちらが押している。正義は勝つ。三里塚の勝利なくして日本の未来はない」と勝利への意気込みを語りました。
■続いて弁護団を代表して、葉山弁護士の挨拶。「反対同盟と石橋家の間で、1988年5月13日、三里塚の店で契約書が取り交わされた。石橋家から倅の武司が出てきたわけだが、政次が武司に委任する能力がなかったというのが空港会社の言い分。絶対にそんなことはないということを今日反論した。それから地上権設定の書類がないから無効というが、これも絶対にそんなことはない。書類や印鑑は2次的なもの。実際に契約意志をもっておこなったことが農村では重要で、実効性があるわけだ」と法廷での議論を報告しました。
遠藤弁護士も補足して「たった7人、12時間で、40年を語るんだからね。陳述書にしてくれなんてとんでもないことだ」と法廷でのやりとりを述べられました。
■続いて反対同盟本部役員の鈴木幸司さん。「私も一坪共有地も訴えられていて、3月8日からこの千葉地裁で裁判が始まります。反対同盟の大きな輪を勝利に結びつけよう」とアピール。
■支援する会事務局の萩原進さんからは「まず、東峰の森の伐採が迫っています。2月25日緊急現地闘争を行ないますので、全力で結集をお願いします。東峰の森については、空港会社がスケジュール的に追いつめられています。次に、3・25全国集会には、是が非でも1000名を超える数で集まってほしい。反対同盟も15カ所、各地区集会にうって出ます。2月19日、市東さんの耕作権裁判がありました。土地収用法でとれなかったものを農地法でとる、これは絶対許されないことです。かめがかむほど味が出る、じゃないが、闘えば闘うほど真価を発揮していかなくてはならないと思う。支援する会ももっと飛躍していかなければ。関西では、写真パネル展が始まると聞いています。東京でも運動を拡大して欲しい。市東さんの裁判を大裁判闘争にしよう」と闘いの方針を提起しました。
■各支援団体からも連帯の挨拶が行なわれました。動労千葉執行委員の滝口さん、関西実行委員会・安藤真一さん、福日労、全学連織田委員長の発言が続きました。
■現闘本部裁判は、内容的に空港会社を追いつめています。5月から始まる本格的立証過程で、完全においつめ、歴史的な勝利をかちとっていきたいと思います。さらなる、支援する会会員の拡大をよろしくお願いします。

  

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