●解約申請から農林水産大臣の棄却決定まで、事実経過もデタラメだらけ

――耕作権取り上げ問題とは(2)

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昨年7月の農業委員会抗議闘争

■市東さんの耕作権取り上げ問題では、事実経過そのものもデタラメだらけといっていいほどひどいものです。
■まず、農地法を使った解約申請を成田市農業委員会が受理したことが大問題です。市東孝雄さんの畑に対する取り上げ攻撃は、昨年7月3日の解約申請によってはじまりましたが、そもそも農業をつづけたいという農民からその耕作権を農地法で奪うというのは例がありません。幾人かの農業委員経験者に聞いても「このよう場合は受理することがおかしい」と異口同音に語ります。
市東さんはただちに不受理を農業委員会に申し入れましたが、7月10日農業委は空港会社の圧力に屈服して受理を強行したのです。

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昨年7月24日の農業委員会弾劾デモ

■次に、農業委員会による現地調査のデタラメさ加減です。
■7月19日、農業委員会の視察団が市東さんの畑を見に来るには来ましたが、視察時間はわずか30秒!でした。約10人がマイクロバスで来て、車から降りたかどうかというほどの短時間で通り過ぎ、アリバイ的に「現地調査」なるものをやったことにしたのです。
 現在、耕作権裁判で問題になっている公図と地籍測量図および耕作現況との違いなども、この時の現地調査を入念に行っておけば、発覚し、農業委員会段階で申請却下という決定もありえたのです。

■さらに9月14日、千葉県農業会議・常任会議での「解約許可」の際の暴言は許せません。決定が下された際、方針説明の中で当該職員は「年間収益の150年分の補償が出るのだから農地の耕作権解約は妥当」と「解約許可」の理由を説明したのです。
■傍聴していた市東さんはじめ反対同盟、支援の住民はもちろん声をかぎりにこの決議を弾劾しました。「金がすべてという拝金主義を農地課の職員が語っていることに驚きあきれた」と市東さんは怒りました。当然です。世の中には金で買えないものが実はたくさんあるのです。農地課職員の言葉は「金なんかいらないから農業を続けたい」という市東さんの気持ちをどれだけ傷つけたでしょうか。現実の問題としても、空港問題をめぐっては、大金をもらって移転したはいいが、生活が堕落して、身を持ち崩したという例がたくさんあるのです。「金をやれば文句はないだろう」という態度は本当に許せません。

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昨年9月14日、農業会議闘争

■そして極めつけが11月23日に発覚した知事決定の騙し取りです。空港会社が買収時期について訂正してきたのです。農業委員会−農業会議への申請書類では買収時期を「2003年12月」と記載し、その事実を前提に、すべての内容を記載していました。
■ところが、知事決定が出た後の11月になって、「買収時期は1988年3、4月だった」と訂正してきたのです。買収時期が1988年と2003年では話がまるで違ってきます。1988年なら耕作権の解約請求権自体が時効消滅することになるからです。さらに空港会社が農地を買収していながら転用しなかったという期間も3年から15年に延びます。どちらも農地法違反ですが、違反の程度がぜんぜん違ってきます。
■まさに「知事による解約許可決定」自体が左右されるような重要事項でのうそです。それを空港会社は決定を騙し取った後になって訂正するという前代未聞のデタラメをやってきました。
■世間には訴訟サギという言葉があります。書類を全部デッチ上げて、提訴し、裁判所をだまして自分のものではない、例えば土地などをだまし取るような犯罪のことです。空港会社のやったことはこの訴訟サギと同じです。ウソの書類をつくって農業委員会、農業会議、県知事を騙して許可決定をかすめとったのです。本当に怒り心頭に発するというものです。

■そして1月29日の農水省の棄却決定です。40年間、土地収用法で取れなかった農地をわずか6カ月、調査も行わずに農地法で奪うことを「是」としたのです。これは、法の破壊そのものであり、一種のクーデターです。
■このように考えますと、市東さんの耕作権をめぐる裁判はあらゆる意味で勝利以外にありえない闘いです。法廷での闘いと法廷外での圧倒的な大衆運動が求められています。傍聴闘争、「市東さんの農地取り上げに反対する会」の運動を拡大しましょう。

  

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