市東さんの耕作権

2007年04月23日

●耕作権裁判 2回目で白熱的な激突

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裁判終了後の方向会に臨む反対同盟と弁護団

 本日、千葉地裁仮庁舎の405号法廷で、市東さんの耕作権裁判第2回の口頭弁論が行われました。
 法廷が開くなり、傍聴に臨んだ一同は目を疑いました。
 なんといきなり裁判長が交代していたのです。弁護団にさえ一言の連絡もなく裁判長が替わるなどということはきわめて異例のことです。そして新しい裁判長は交代の更新手続きもそこそこに、きわめて性急にことを進めようと強引な訴訟指揮をおこなってきました。

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2007年04月22日

●明日(4月23日)市東耕作権裁判、第2回弁論の傍聴へ

――午前11時、千葉地裁(午前10時に集合)、仮庁舎405号法廷

市東さんの耕作権をめぐっては3つの裁判を争うことになると思います。

第1は明日4月23日に第2回口頭弁論が行われる、空港会社側提訴による「明け渡し請求」訴訟です。第2は市東さんの方から起こす行政訴訟です。これは今年1月29日に下された行政不服審査請求の裁決取り消しを求めて、市東さんが松岡農水大臣に対して起こすか、あるいは昨年9月21日の耕作権解約許可決定の取り消しを求めて堂本千葉県知事を相手取って起こすか、どちらか1つになります。第3が、知事による「解約許可」が下りた畑に対して空港会社が起こしてくるであろう2つめの「明け渡し訴訟」です。

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■このうち第1と第3の訴訟の関係を下の図を使って説明します。
■白枠で囲った畑が市東孝雄さんが耕作している畑です。A、B、Cと3つに分かれています。Dは、市東さんがまったく耕作したことがない畑(野原)です。
■昨年7月3日に空港会社が農地法を使って耕作権の解約申請を行ってきた場所はBとDです。Dについては市東さんは耕作したことがまったくなく、空港会社が旧地主藤崎政吉氏の説明を鵜呑みにした錯誤で「契約農地」と勘違いしている場所です。
■この畑BとDについて昨年9月21日に知事の解約許可が下りました。空港会社は、直後の昨年10月にこの知事決定を根拠に明け渡しを求めてきましたが、市東さんは当然拒否しました。一般には、ここでただちに民法に基づいて、「明け渡し訴訟」を起こすところですが、農地はそのよういはいきません。
■農地の場合、民法の規定によってすぐには「明け渡し」請求の提訴はできないのです。なぜならすでに作物が作付けされ植わっているので、その作物が収穫された後に初めて「「明け渡し」が請求できるという規定になっているからです。
■他方、AとCは空港会社が「賃貸借契約もしていないのに勝手に耕している不法耕作地だ」として、昨年10月20日に提訴し2月19日から始まった裁判の対象地で、4月23日に第2回目の弁論が行われます。
■このように「市東さんがどこの畑を耕しており、どこの畑を賃借していたのか」という基本的な問題について、空港会社側に重大な錯誤があるのが市東耕作権問題です。そのうえで、2月19日の弁論で同盟側が追及したように、公図と空港会社側が出してきた地籍測量図が大幅にくい違っているという、別次元の位置のずれの問題が存在しています。
■傍聴闘争への結集お願いします。(「市東耕作権問題とは何か」明日につづきます)

2007年04月21日

●解約申請から農林水産大臣の棄却決定まで、事実経過もデタラメだらけ

――耕作権取り上げ問題とは(2)

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昨年7月の農業委員会抗議闘争

■市東さんの耕作権取り上げ問題では、事実経過そのものもデタラメだらけといっていいほどひどいものです。
■まず、農地法を使った解約申請を成田市農業委員会が受理したことが大問題です。市東孝雄さんの畑に対する取り上げ攻撃は、昨年7月3日の解約申請によってはじまりましたが、そもそも農業をつづけたいという農民からその耕作権を農地法で奪うというのは例がありません。幾人かの農業委員経験者に聞いても「このよう場合は受理することがおかしい」と異口同音に語ります。
市東さんはただちに不受理を農業委員会に申し入れましたが、7月10日農業委は空港会社の圧力に屈服して受理を強行したのです。

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昨年7月24日の農業委員会弾劾デモ

■次に、農業委員会による現地調査のデタラメさ加減です。
■7月19日、農業委員会の視察団が市東さんの畑を見に来るには来ましたが、視察時間はわずか30秒!でした。約10人がマイクロバスで来て、車から降りたかどうかというほどの短時間で通り過ぎ、アリバイ的に「現地調査」なるものをやったことにしたのです。
 現在、耕作権裁判で問題になっている公図と地籍測量図および耕作現況との違いなども、この時の現地調査を入念に行っておけば、発覚し、農業委員会段階で申請却下という決定もありえたのです。

■さらに9月14日、千葉県農業会議・常任会議での「解約許可」の際の暴言は許せません。決定が下された際、方針説明の中で当該職員は「年間収益の150年分の補償が出るのだから農地の耕作権解約は妥当」と「解約許可」の理由を説明したのです。
■傍聴していた市東さんはじめ反対同盟、支援の住民はもちろん声をかぎりにこの決議を弾劾しました。「金がすべてという拝金主義を農地課の職員が語っていることに驚きあきれた」と市東さんは怒りました。当然です。世の中には金で買えないものが実はたくさんあるのです。農地課職員の言葉は「金なんかいらないから農業を続けたい」という市東さんの気持ちをどれだけ傷つけたでしょうか。現実の問題としても、空港問題をめぐっては、大金をもらって移転したはいいが、生活が堕落して、身を持ち崩したという例がたくさんあるのです。「金をやれば文句はないだろう」という態度は本当に許せません。

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昨年9月14日、農業会議闘争

■そして極めつけが11月23日に発覚した知事決定の騙し取りです。空港会社が買収時期について訂正してきたのです。農業委員会−農業会議への申請書類では買収時期を「2003年12月」と記載し、その事実を前提に、すべての内容を記載していました。
■ところが、知事決定が出た後の11月になって、「買収時期は1988年3、4月だった」と訂正してきたのです。買収時期が1988年と2003年では話がまるで違ってきます。1988年なら耕作権の解約請求権自体が時効消滅することになるからです。さらに空港会社が農地を買収していながら転用しなかったという期間も3年から15年に延びます。どちらも農地法違反ですが、違反の程度がぜんぜん違ってきます。
■まさに「知事による解約許可決定」自体が左右されるような重要事項でのうそです。それを空港会社は決定を騙し取った後になって訂正するという前代未聞のデタラメをやってきました。
■世間には訴訟サギという言葉があります。書類を全部デッチ上げて、提訴し、裁判所をだまして自分のものではない、例えば土地などをだまし取るような犯罪のことです。空港会社のやったことはこの訴訟サギと同じです。ウソの書類をつくって農業委員会、農業会議、県知事を騙して許可決定をかすめとったのです。本当に怒り心頭に発するというものです。

■そして1月29日の農水省の棄却決定です。40年間、土地収用法で取れなかった農地をわずか6カ月、調査も行わずに農地法で奪うことを「是」としたのです。これは、法の破壊そのものであり、一種のクーデターです。
■このように考えますと、市東さんの耕作権をめぐる裁判はあらゆる意味で勝利以外にありえない闘いです。法廷での闘いと法廷外での圧倒的な大衆運動が求められています。傍聴闘争、「市東さんの農地取り上げに反対する会」の運動を拡大しましょう。