●「祖父の代から90年耕作の農地をなぜ奪われなければいけないのか、耕作者としての私の権利はいったいどこにあるのか」

――農地取り上げ違憲訴訟で市東孝雄さん堂々の意見陳述

t千葉県農業会議弾劾
裁判終了後の記者会見
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■空港会社による農地取り上げ攻撃に対して、県を被告席に座らせ、市東孝雄さんの側から反撃する「農地取り上げ違憲訴訟」の第1回弁論が、10月30日、千葉地裁(民事第3部・堀内明裁判長)で闘われました。

t千葉県農業会議弾劾

■傍聴券を求めて10時からつながった長い列には「農地は私たちの命です――農地取り上げ違憲訴訟」と書かれた横断幕が掲げられ、千葉県庁、千葉地裁に行きかう市民の注目を引きました。
■午前11時、弁論開始。傍聴席は反対同盟、「市東さんの農地取り上げに反対する会」の皆さん、農民、消費者の皆さんで埋め尽くされ、入れなかった人たちは、通路で法廷内のやり取りに注目しました。
■法廷では、葉山岳夫弁護人が「特別傍聴席」を設けない裁判所への抗議を行った後、原告の市東さんが意見陳述に立ちました。
■市東さんは「祖父の代の開墾から、代々90年間耕作してきた農地を、なぜ奪われなければならないのか、まったく納得できません」「当事者でありながら会議を傍聴するしかなかったのが実情です。耕作者としての私の権利はいったいどこにあるのでしょうか」と成田市農業委員会、千葉県農業会議、県知事、農水大臣を弾劾しました。
そして、「農地課の役人は『離作補償の1億8000万円は農業収入の150年分にあたる』と報告しましたが、このような金は要りません! 農地と農業はかけがえのないものであり、私たちの命です。私の農地問題の背景には、国と県の農業切り捨てがあることをこの場を通して訴えたい」と強調し、「農地の賃貸借契約解除の許可処分の取り消しを強く求めます」としめくくりました。
■傍聴席からは感動の声がもれました。さらに、葉山岳夫弁護士、一瀬敬一郎弁護士から、訴えの趣旨説明が行われました。この中で、堀内裁判長が、「市東さん側の主張をもっと展開するように」との要求をしたことに対して、葉山弁護士が、次のように反論し圧倒しました。「行政訴訟の場合は、こちらが原告であるとはいえ、説明責任は処分を下した行政側にあります。ですから、処分についての行政側の主張を全面的に追及した後に、市東側からの主張をするのが筋です。ですから、求釈明によって県側の主張をただすのが順序です」。
■傍聴席と一体となった葉山さんの正論で、裁判長は市東さん側の主張を承認せざるをえず、次回、求釈明を十分展開することが決まりました。
■弁論終了後、場所を千葉県弁護士会館に移して、記者会見と報告会が行われました。
市東さんは「今回は原告ということで少し緊張しましたが、不法耕作でっちあげ裁判も含め徹底的に闘います」と決意を述べました。
■北原鉱治事務局長は「農業をなくそうという今の政府の政策に対して、『このままでは日本はどこへいくのか』『戦前と同じ道を歩むのではないか』という危機感を禁じえない。そんな状況を絶対に許してはならない。そのためにも市東さんの裁判に絶対勝利し、農と食料を守ろう」と語気を強め、自衛隊、米軍による軍事使用攻撃が強まる成田空港の状況についても警鐘を鳴らしました。
■関西からかけつけてくれた永井満・関西実行委代表世話人は「市東さんの陳述に感銘を受けました。関西の方でも全力で裁判支援体制を作っていきます」と発言してくれました。
■「反対する会」の井村弘子さん(共同代表)が「傍聴人が多いことは裁判に影響を与えます。理屈の通らないことをむりやり通そうとするのが県や国のやり方なんですから、私たちが監視の目を緩めずにがんばりましょう」と檄を飛ばしました。かけつけた北総農民の一人は「先日、八郎潟に行ってきましたが、日本でもっとも大規模で、機械化も進んだあの場所の米農家ですら、米作りを続けられないという現状は深刻です。大規模化すれば日本の農業問題が解決するかのような幻想を吹き飛ばしています。日本の農業を守れるかどうか、市東さんの問題は試金石だと思いますので勝利しましょう」と、農民の立場から市東さん問題の重大性を指摘しました。
■最後に反対同盟から萩原進事務局次長がまとめを提起しました。「政府は空港が国策だという。じゃあ農業はどうなんだ。空港以上の『国策』じゃないか、と声を上げよう。かつて、生産者米価と消費者米価というのがありました。消費者米価というのは労働者の闘いによって政府に逆ザヤを認めさせるという、労働者が勝ち取った成果でもあったわけです。農民と労働者は対立するものじゃない、ということを示したんです。農民と労働者が食える保証をしろと、そういう共同の闘いをやろうじゃありませんか」「市東さんの問題は『現代版佐倉惣五郎』につながるような大きな課題です。ともに闘いましょう」
■参加者は、ついに始まった反撃の闘いとしての行政訴訟を全力で展開していく決意を確認しあいました。次回は、2008年1月15日(火)午前11時から千葉地裁です。今回以上の大傍聴闘争を実現しましょう。

  

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  • 市東さんの農地強奪阻止行政訴訟