- 2009年11月16日 22:04
―11・12天神峰現闘本部裁判
続いて弁護団は、結審まぎわのこの時期に、原告・成田空港会社が「訴状訂正」申し立てたことについて、仲戸川裁判長の訴訟指揮を徹底的に追及しました。空港会社が言っている内容は、「明け渡せ」という対象を8.8坪も広げるものですから、「訂正」ですまされるものではありません。「拡張変更」であり、当然にも審理を続行して、私たちに防御の機会が与えられなければなりません。しかし仲戸川裁判長は「私もなぜ今になって訴状を訂正するのか聞いてみたい」と空々しいことを言っておきながら、「拡張変更ではないのか」「審理を続けるべきだ」と迫る弁護団に対して、「意見として聞いておきます」と逃げ回り続けたのです。
法廷がさらなる怒りに包まれる中で、最終弁論の冒頭に北原鉱治事務局長が代表して意見陳述をおこないました。北原事務局長は、仲戸川裁判長を諭(さと)すように落ち着いた調子で語りかけながらも、凛とした態度で徹底的に闘うことを宣言する陳述をおこないました。
以下、北原事務局長の陳述を掲載します。
陳 述 書
2009年11月12日
千葉地方裁判所民事第5部 御中
三里塚芝山連合空港反対同盟
代表者 事務局長 北原鉱治
われわれ反対同盟は、今日の法廷を最終弁論として迎えたことに心の底からこみ上げる怒りを抑えることができない。反対同盟は仲戸川裁判長を公正な裁判官であるとは、到底、認めることができない。この裁判長に厳正な裁判などまったく期待できない。反対同盟は、仲戸川裁判長を弾劾するためにこの法廷に立っている。そのことを冒頭申し上げ、その理由を以下に陳述する。
(1) 結審まぎわの「訴状訂正申立」と防御権のはく奪
まず、弾劾しなければならないことは、裁判も最終段階の今になって、原告・空港会社が「訴状訂正」を申し立て、仲戸川裁判長が反対同盟に防御の機会を与えることなく、結審する挙に出たことである。
空港会社の申し立ては、およそ「訂正」などと言えるものではない。「便所」「蛇口及び水道管(埋設部分も含む)4個」「小便器」「流し台」を対象物件とし、これに応じて明け渡し対象地を約8.9坪も広げている。そうである以上、われわれに認否・反論の機会が与えられるべきことは言うまでもない。
また、収去対象の建物1階については、当初の木造建物の5.5畳の畳敷きの部屋と事務室部分を収去対象の床面積に加えている。当初の木造建物は解体され滅失したという空港会社の主張はどうなったのか、裁判長は確かめることをしないのか。
しかもこの拡張変更の請求には、「水道管の埋設部分を含む」とされているが、石橋政次氏が反対同盟の権利として残した井戸が含まれていない。対象がどの範囲に及ぶのか、いつからその権利関係が発生したのかといった事実関係を調べもせずに、いかなる判決が書けるというのか。
空港会社はこの拡張変更を、最終準備書面と同時に提出した。審理のすり抜けを裁判所に認めてもらおうという悪らつな策謀である。仲戸川裁判長はこれに加担した。
これは空港会社に肩入れする不公平な態度に終始し、暴走と迷走を繰り返してきた仲戸川裁判長の最後的な暴挙であって、断じて認めることができない。
(2) 最重要証人の喚問と検証拒否
次に、最重要証人の再喚問と実地検証を拒否して結審を強行する仲戸川裁判長の暴挙を、徹底的に弾劾しなければならない。
この裁判の正否を決める最大の争点は、反対同盟が土地を正当に使用する権利としての地上権の存否である。
これにかかわる地代の授受に関して、虚偽の事実を記載した石橋恵美子証人の陳述書が提出されている。「予め地代の領収証とカンパの領収証と書いたものを持ってきた」とか「金銭を受け取ることは一度もなかった」とかの虚偽の記述は、到底、当人が書いたものとは言えず、まぎれもなく空港会社の作文である。仲戸川裁判長が認めた石橋証人に対するビデオリンクは、真実を白日のもとに明らかにすることを封じるための空港会社の策謀だった。
さらに、登記された木造建物の存在を確認し、その権利が鉄骨造建物に及ぶ構造上の事実を確認するためには、実地検証が不可欠である。反対同盟は鉄骨造建物の設計段階から、木造建物の保存を第一の目的とした。木造建物は間違いなく存在する。ところが空港会社は、鉄骨造建物の建設段階で「解体・滅失」したと強弁している。シロをクロと言いくるめる暴論である。
最重要の争点の事実関係をめぐって、180度対立しているというのに、一度も調べることなく、どうして公正な判決が書けるというのか。
今回、空港会社が訴えの拡張変更を請求したことも、検証の必要性をますます高めさせている。
この問題について、反対同盟は二度に渡って書面で申し入れたが、仲戸川裁判長は理由を告げることなく頑なに拒んでいる。
(3) 常軌を逸した訴訟指揮の暴走と迷走
上記のような、肝心要の重要証人の喚問と実地検証を拒否する偏った訴訟指揮をめぐって、仲戸川裁判長の暴走と迷走が繰り返されたのである。
検証拒否を不当とした裁判官忌避申立(2007年7月19日)の後の、再開弁論(2008年6月12日)では原告・空港会社の側も検証を申し立てたが、裁判長は双方申請にも応じない姿勢を示した。そして次の弁論(同年9月25日)には、異常な警備のなかで同盟員一名を不当逮捕するという事件が発生した。過剰警備についての説明を求める法廷で、裁判長は強権的訴訟指揮を乱発し、①検証却下、②3名の証人不採用、③尋問時間と期日の指定を強行した(書記官含め誰一人として告知を確認していない)。
これを不当とする2度目の裁判官忌避につき最高裁の決定前に、弁論期日を一方的に指定して、原告の申し立てに基づきビデオリンクを採用した。
3回目の忌避・即時抗告申し立てと、ビデオリンク方式の不当を訴える最中、裁判長は被告不在のまま開廷を強行し(本年3月12日)、すでに決定していた被告側証人3名の証人調べを一方的に取り消して4月23日を最終弁論として通告した。
この常軌を逸した訴訟指揮に対して強く抗議するや、裁判長は3名の証人を認めたものの尋問時間を不当に制限した。さらに抗議したところ、事実上その非を認めて全面的に撤回した。
ところが、6月25日の弁論では、石橋恵美子氏ら重要証人の再喚問と実地検証を却下し、即日結審しようという訴訟指揮を強行した。
あげくに、空港会社の「訴状訂正申立」に対する防御権の保障の請求を電話で却下し、結審を強行しようとしているのである。
(4) 防御権を封殺する証拠隠滅は許さない
以上の経過と裁判長の本件裁判に対する敵対的姿勢を見るとき、反対同盟はじつに重大な懸念を抱かざるをえない。
それはこの裁判の始めから建物収去の結論ありきの国策裁判として進行する事態の先には、判決に仮執行宣言を付して、現に存在する物的証拠もろとも破壊・隠滅するのではないかという懸念である。これは、控訴審における反対同盟の防御権をあらかじめ封殺することを意味する。
三里塚現地において、原告・成田空港会社は暫定滑走路北延伸と新誘導路の違法な工事を強行し、地元住民の「反対」の声を押し切って供用した。その上、空港予定地を飛び出しての「第3の誘導路」計画をうち出した。供用されている誘導路の欠陥と破綻を取り繕うためのものだが、同時に別件で農地取り上げと闘う市東孝雄さんの家屋・畑を空港内に囲い込み耐え難い騒音で追い出そうとする非道な国家犯罪である。
こうした暴挙と一体であるかのような本件裁判は、断じて認められない。司法制度改悪の尖兵となって強行する不当な訴訟指揮は許されない。
(5) 裁判官罷免請求は止むに止まれぬ権利の行使
反対同盟は11月4日、裁判官訴追委員会に対して、仲戸川裁判官罷免の訴追請求を行った。これは、偏った訴訟指揮を改めるように何度も訴えたが聞き入れず、地上権立証に不可欠の実地検証をせず、最重要証人の再喚問にも応じない裁判官に対する、やむにやまれぬ権利の行使である。
反対同盟はいかなる判決が下されようと微動だにしない。だが、仲戸川裁判長による、かくも常軌を逸した審理が横行することは許されない。反対同盟は、その不当を明らかにして、徹底的に闘うことをこの場に宣言して陳述とする。
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