11月27日、反対同盟は、ＮＡＡが市東さんの耕作地買収時期を偽っていた問題（11月24日ブログ参照）で記者会見を行い、ＮＡＡによる「耕作権解約許可決定の騙（だまし）し取りの悪らつさを弾劾しました。そこで緊急抗議声明を発表しました。
（以下全文）
緊急抗議声明
解約申し入れ許可決定の白紙撤回を要求する
成田空港会社の黒野社長は１１月２２日付の市東孝雄さん宛書面（「申入書の一部訂正について」）で、賃貸借契約解約に係わる土地の所有権取得時期を「訂正」してきた。しかしこれは単に「訂正」の一事で済ませられる問題ではない。空港会社（旧空港公団）は買収の当事者であり、その期日をむろん始めから承知していた。空港会社は、買収時期を意図的に誤記することで農地法違反の数々を隠し、成田市農業委員会と千葉県農業会議を欺き、県知事から「賃貸借の解約申し入れ」の許可決定を騙しと取ったのである。申請当初から指摘された誤りを改めず、知事決定後の今になって「訂正」したことに、騙取（へんしゅ）の意図が明らかである。
反対同盟は満身の怒りをこめてこれを弾劾する。反対同盟は、成田市農業委員会と千葉県農業会議、千葉県知事が行ったすべての決議と決定を取り消すことを要求する。また成田空港会社は、決定の騙取の事実を認め、即刻、市東孝雄さんに対する解約申し入れを取り消し、デタラメな位置特定によって明け渡しを求めた不当提訴を取りさげることを要求する。
１．知事決定の騙し取り
黒野社長が訂正した内容は、空港会社が旧地主（藤崎政吉と岩沢和行）から所有権を取得した時期である。空港会社は７月３日の申請段階から今日まで、当該耕作地の取得時期を、３年前の「平成１５年１２月」としてきた。それを今回、１８年前の「昭和６３年３月と４月」に「訂正」したのである。
この誤記の事実は、市東さん本人によって何度も指摘されながら改められることなく、成田市農業委員会と千葉県農業会議において、権利移動の合法的な経過として報告されてきた。そしてこの意図的な誤記によって数々の農地法違反が不問に付され、各段階で誤った決議・決定が導き出されたのである。
すなわち、買収時期が１５年も遡ることによって、ただちに以下の違法行為が問題になる。
�� 農地法に反して、耕作者・市東東市（当時）さんの同意を得ることなく耕作地を売買し、その後１５年間にわたって所有権の移動の事実を市東さんに秘匿してきたこと
�� 買収後も非農耕者である空港公団が、農地転用をせずに１８年間放置し、純然たる農地を農地として所有し続けてきたこと
�� その農地を旧地主である藤崎政吉、岩沢和行に貸し与え、市東孝雄さんに買収の事実を告げた２００３年までの１５年間にわたり両名をして地代を詐取させてきたこと
──以上のように農地法に違反する空港会社には解約申請を行う適格性がない
�� なによりも民法上、１９８８年（昭和６３年）の買収から１０年を経た１９９８年の時点で、賃貸借契約解約の請求権が時効消滅しており、知事に対する申請自体が無効であること
（詳細は「千葉県農業会議常任会議に対する意見ならびに調査請求書」：９月１６日付を参照のこと）
買収時期の問題は所有権取得の当否にかかわることから解約請求の大前提をなす問題であり、請求権の資格喪失という決定的な事態にかかわる問題なのである。
それゆえ空港会社は買収の時期を偽って解約申請し、成田市農業委員会に受理させて「転用相当」の決定を進達させ、県農業会議の答申と千葉県知事の「許可決定」を引き出したのである。これを行政処分の騙し取りと言わずしてなんというか。
２．申請書には畑の位置特定の虚偽も
空港会社の申請書に記載された虚偽事実は、売買時期にとどまらない。「天神峰４１−８」と「同４１−９」（旧地主・藤崎政吉）の耕作地について、その位置の特定に重大な錯誤ないし誤認がある。
この点についても市東さん本人が当初（７月２４日の意見聴取）から指摘し、実地に調査することを強く求めてきた。成田市農業委員会は、「追って調査する」旨答えたが調査せず、虚偽の位置特定のまま知事決定に至ったのである。
あげくに空港会社はこのデタラメな位置特定に基づき、これまで数十年間にわたって問題なく耕作を続けてきた耕作地を、市東さんが違法に「占有」しているとして明け渡しを求める訴えを千葉地裁に提起した（１０月２０日）。言語道断である。
売買時期の「訂正」に現れたように、空港会社の申請書は核心において虚偽に基づくものである。知事に不実の主張をして、県知事から解約許可を騙し取る行為は詐欺罪（刑法２４６条）に該当（最高裁昭和５１年４月１日決定）し、騙し取った許可処分は無効である。
３．解約申し入れを許可した知事決定の取り消しを要求する
知事決定をもとに、空港会社は１０月１１日付で市東孝雄さんに対して、契約解除の申し入れを行い、「現在耕作中の作物の収穫期到来後１年の経過」をもって、農地を明け渡せと迫っている。
また、デタラメな位置の特定によって耕作地を明け渡せとする訴訟の口頭弁論が１２月１８日に予定され、市東さんに対して出頭を要求している。（空港会社は、知事決定の騙取の後、法廷でこの問題が問われる前の今、「訂正」なる言葉で誤魔化しすり抜けようとしている。悪質この上ない！）
このような理不尽がどうして許せるであろうか。空港会社の虚偽と決定の騙取が明らかになった今日、私たち反対同盟は、この問題に関する全ての決議、答申、決定の白紙撤回を要求する。千葉県知事に対しては解約申し入れ許可決定を即刻取り消すよう強く求める。
〒286-0111 （連絡先） 事務局長・北原鉱治 成田市三里塚115