- 2013年12月16日 23:36
- 裁判闘争
12月16日、千葉地裁で第3誘導路裁判がおこなわれました。
その後の裁判報告会で、弁護団から、耕作権裁判に於ける重大な前進が報告されました。
12月9日、千葉地裁民事第2部(岸日出夫裁判長)は、弁護団の主張を全面的に認め、成田空港会社(NAA)が「存在しない」と言い張っている文書について、「所持していると認めるのが相当」として 関係文書の提出を命令 したのです。 しかも今度はインカメラ(まず裁判所だけが見て、認めたものだけを開示)によるのではなく、直に法廷に提出させる命令です。
弁護団が1年以上にわたって追及を続け、裁判の審理もストップした文書提出攻防で、ついにNAAを追い詰めました。
NAAに提出をを求めてきたのは、旧地主・藤﨑政吉氏から畑の底地を買収したことに関する交渉記録や、「同意書」「境界確認書」および添付図面に関する報告書、さらには市東さんの賃借地の位置特定に関わる文書です。
前任の白石裁判長の段階で、10点の文書が提示されました。しかし肝心の交渉記録についてNAA側は「存在しない」と言い張るばかりでした。
NAA側の主張に、「無いというのだから提出命令を出してもしょうがないでしょう」という白石決定を不服として弁護団は抗告。東京高裁は白石決定の一部を取り消して、千葉地裁に差し戻したのです。
今回岸裁判長は、「無いと言ってるけども、これはあるはずだ、あるはずだから出せ」という提出命令を出したわけです。
空港公団の規定では、交渉記録を備えるとなっていたし、他の裁判で用地買収の交渉記録が当然のように出てきているのですから、空港会社の言っていることは全く筋が通らないという決定です。
提出期限は「この決定確定の翌日から7日以内」。明日17日が期限です。
◎交渉記録などの文書が提出されたなら>>>
これまでNAAがウソをついていたことが、明々白々になります。NAAにとっては相当不利な、マズイ内容であることは間違いありません。「同意書」「確認書」など私たちが「偽造だ」と争ってきたことが、より明らかになります。空港会社の主張が結局全部デタラメでウソっぱちだとなれば、明け渡し請求の根拠も崩れるわけで、来春東京高裁で闘われる行政訴訟・農地法裁判にも大きく影響します。
◎NAAがなお決定に従わず「存在しない」と言い張れば>>>
民事訴訟法上、提出を求めた文書の成立過程とか内容などについて、提出を求めた側、すなわち私たちの主張したとおりであると、裁判所が見なすことになるそうです。同意書・確認書問題、地積測量図問題、賃借地の位置特定問題等々について、裁判所はこちらの主張を大きく認めざるをえない状況になります。
◎NAAが決定を不服として即時抗告すれば>>>
1年以上ストップしていた耕作権裁判は、再び一切の審理が止まってしまうことになります。行政訴訟・農地法裁判で千葉地裁民事3部の多見谷裁判長は、卑劣ともいえる訴訟進行でこの文書問題に触れないまま、不当な農地取り上げ判決を下しました。フタをしたはずの問題のフタがはずれようとしている今、これを引き継ぐ東京高裁・貝阿彌裁判長は、地民2部の決定が確定しないままで裁判を進行できるのか、そういう問題にもなります。
NAAのデタラメな位置特定によって、市東さんは自分の畑を「不法耕作」だとして裁判を起こされ、被告にされたのです。「なぜ私が被告に?!」という率直な怒りで市東さんは闘い続けていますが、ついにNAAを追い詰めました。市東さんと弁護団、それに毎回の傍聴の力です。さあ、苦し紛れの言い逃れを続けてきたNAAの選択は?
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