菅野不当判決に弾劾声明発す

 請求異議裁判控訴審で菅野雅之裁判長が下した不当判決に対して、反対同盟と顧問弁護団は即日、これを弾劾する声明を発しました。以下に掲載します。

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2020年12月17日

東京高裁菅野雅之裁判長による違法不当判決を弾劾する
                      

               三里塚芝山連合空港反対同盟
三里塚芝山連合空港反対同盟顧問弁護団

1 本日12月17日、東京高等裁判所第4民事部・菅野雅之裁判長は成田市天神峰、南台に所在する市東孝雄さんの耕作する完全無農薬有機農業、産直事業の畑7300㎡に対する明け渡し強制執行を認可するという違法・不当きわまる判決を下した。
2 反対同盟顧問弁護団は、市東孝雄さんとともに、この違法・不当な判決を満腔の怒りをもって弾劾し、直ちにこの判決の取消、強制執行不許可を要求して最高裁判所に上告、上告受理申立を提起した。
3 天神峰、南台の畑は、市東市太郎さん、東市さん、孝雄さんが3代100年以上にわたって耕作を続けてきたものであり、現在、市東孝雄さんは萩原富夫さんとともに完全無農薬有機農業で育てた野菜を都市の労働者、市民の家庭に届ける産直運動事業を行っている。まさに社会的に価値ある公共的事業である。この農地は、市東さんの身体の一部であり、命である。
 菅野判決は、農民市東孝雄さんの命を奪う判決に他ならない。
4 成田国際空港株式会社は農地明け渡し強制執行の必要性、緊急性を一切明らかにすることなく、確定判決が出たので強制執行は当然のことだとうそぶくのみである。
 しかし全世界に蔓延する新型コロナウィルス禍は、成田空港をも直撃し、本件強制執行を強行するための必要性、緊急性を消滅させたのみならず、成田空港を存続の危機に直面させている。2020年のこれまでの国際便旅客数は2019年の対比でわずかに2.8%で、通過客を除くと前年の1.8%の利用者減であり、2021年3月見込みとしては、783億円の大赤字となることが発表されている。また世界的航空情勢、国際線の羽田への集中が進められているなど、コロナ過以降も国際線の需要が従前どおりとなる見込みは全くない。成田空港自体が不要不急の長物と化そうとしている。
 本件農地と関連するB’滑走路、いわゆるB滑走路は4月12日から7月21日まで閉鎖を余儀なくされ、その後も離発着の増加はわずかにとどまっている。
 公共的社会的価値ある生命に直接結びついた完全無農薬有機農業、産直事業を破壊する理由、必要性は皆無である。
5 しかも、1994年10月に開かれた成田空港円卓会議の隅谷調査団最終所見で、平行滑走路の用地取得に際しては、あらゆる意味で強制的手段が用いられてはならないなどの提案がなされ、空港公団総裁がこれを受け入れる公約を表明した。しかるに本件判決は、この公約違反の強制執行を認可した。
 さらには、本件判決は上記の状況で、農民市東さんの命である農地を取り上げることが権利濫用であることについて、農学者、経済学者、憲法学者が意見書、証言をもって立証したにもかかわらず、権利濫用の事実を認定しないという明白な事実誤認の誤りをおかした。
6 弁護団は、市東さんの農地取り上げに反対する会、反対同盟、全国の農民、労働者、市民、学生と固く団結して、最高裁判所に裁判闘争の場を移して、この違法・不当な判決をくつがえして勝利するために全力を尽くす決意を表明する。

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